国家資格は強い

　　　　　　　　　　　　　　　　国家資格は強い
　家計が苦しい、前田亜里沙はサラリーマンの夫の孝道に言った。
「子供達も学校に行って」
「俺の稼ぎだけだとか」
「私のパートだとね」
「家や車のローンもあるしな」
　夫は妻の言葉に腕を組んで応えた、やや細面で眉は太めで一重の細い目だ、癖のある黒髪をセットしている。背は一七三位で痩せている。
「だからか」
「そう、だからね」
　妻は夫に言った、茶色の髪の毛を肩まで伸ばしはっきりした二重の目である。赤い唇は小さく細面で顎はすっきりしている、背は一六一位で四十代だがスタイルはいい。
「私また働くか」
「いいのか？」
「いいわよ、パートじゃなくてね」
「お前薬剤師だったな」
「その資格あるから」
　だからだというのだ。
「復職するわ」
「大丈夫か？」
「ええ、知り合いにもお話して」
　そうしてというのだ。
「お仕事探すし」
「ずっとパートでいきなり正社員か」
　夫は考える顔で言った。
「なれるか？そうなったら確かにお金入るがな」　
「パートより正社員の方がね」
「けれどそんな簡単にな」
「大丈夫よ、だからこれからはね」
「お前も正社員で働くか」
「そうするわね」　
　家のテーブルで向かい合って座ってこう夫に話してだった。
　亜里沙は実際にパートから正社員を目指した、すぐに知り合いに頼んで仕事を探してもらうとすぐにだった。