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空に夢があるのなら

作者:狐飴わた
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FIRST SEASON
  イントロダクション

 
前書き
初投稿です。拙い文章力ですが、自分なりに楽しく書いていますので暖かな眼差しで見守ってくださると嬉しいです。
誤字、脱字がございましたら遠慮なく教えて下さると修正致します。面白そうだなと思った方も是非感想やレビュー、お気に入り登録宜しくお願いします。 

 
 高海千歌、16歳。ヌマズ島ウチウラにある老舗旅館のしがない看板娘。
 忙しない一日を終え、安らぎの一時を過ごしていた時。
 一人の女が現れた。


「待ってたよ、貴女が此処に来るのを」


 青く、白く。空や海を連想させるその空間の中は白いモヤが女の顔を隠す。
 知らない人だ。とチカは思う。
 旅館に訪れる客人の名や顔を覚えている事が多い彼女だが、目前の女は見かけた事も、当然名前も顔も知らない。
 しばらく唖然としていると、あははっと声を上げ、女は笑う。


「私は高坂穂乃果。空賊[μ's]の船長。」


 空を旅する集団・空賊。海賊や山賊と似て非なると良く言われるが、やっている事は何も変わりない。
 とは言え酔った客人の言葉を聞いただけで、実際空賊が何をしているのか分かっていないチカは女───ホノカが名乗っても理解が出来なかった。
 反応出来ないのが当たり前、言葉に出来ないのが当たり前。そう言うようにホノカの口は止まることを知らない。


「此処は願いが叶うとされる伝説の島。自然豊かで、舞う翼は美しい七色。私は此処で貴女、高海千歌を待っていた」


 チカは馬鹿馬鹿しいと思った。空に島なんてある訳ないし、それこそ願いが叶うなんて普通でない。まずココは夢の中で。ホノカと名乗るこの女性も夢の住人なんだ。
 信じれない故の現実逃避か。本当に夢の中か。真実を知るのはきっとホノカだけ。
 疑問はあるが、話が進まないのは少々イタい。喋らない方が良さそうと、静かに耳を傾ける。


「夢か本当か。それは貴女の目で確かめると良い」


 待ってるよ───此処で逢える事を。
 一気に視界が明るくなる。風は強く吹き、体が今にも飛ばされそうで。不思議な言葉を残して、姿を消した。



◈◈◈



 ───ガタンッ。

 旅館から鈍い音が響く。
 2階の少し広い部屋。チカがベットから落ちた音だった。


「〜〜〜〜っぁ」


 体を打ち、頭を打ち。チカは逃げ場のない痛みから悶え苦しんでいた。ドカドカと階段から誰かが駆け上がる足音も聞こえ、これは怒られる。今日は最悪の日だとチカは早々落ち込んだ。


「チカ!!うるっさい!!」


「ごめんって……ミト姉」


 痛い体を起こし、文句を言いに来た一人の姉、高海美渡に謝る。ベットから落ちたのは故意ではないし、そこまで怒らなくても良いじゃんと不満はあるものの言い返す雰囲気でもなかった。


「チカちゃん、ミト。お客さんに迷惑よ」


「んげっ……シマ姉だ。さっさと下、下りてきな」


「分かったよ……」


 1階から2人を咎める柔らかな声。2人の姉、高海志満の声で優しそうな声色には背筋が凍る冷たさが秘められている。これ以上は本当に怒られると逃げる様にミトは下へ下りて行った。
 チカもミトを追うように階段を下り、リビングへ向かった。 
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