ハッピークローバー
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第五十六話 かなり飲んだのでその八
「どうも」
「うん、それで俺もこの人のことを聞いて」
「自分がそうなったらって思って」
「怖かったよ」
「それで絶対によね」
「なってはいけないってね」
その様にというのだ。
「思ってね」
「なったら人生終わりよね」
「ああなりたいかって言われたら」
その時はというと。
「もう何があっても嫌だってね」
「言うわよね、私もよ」
「一ちゃんもだよね」
「行方不明ってね」
その人の現状を話した。
「多分だけれど死んでるでしょ」
「野垂れ死にだね」
「そこに至るまでもね」
「恥ずかしい人生だよね」
「その恥ずかしい人生を送っても」
それでもというのだ。
「気付かないでね」
「平気で暮らしていて」
「碌でもない人生送ってるのに」
「それも自覚しないで」
「もうそんな人間になるなら」
それ位ならというのだ。
「もうね」
「人生やり直すべきだよね」
「完全に失敗じゃない」
一華は言い切った。
「そうした人生だからね」
「絶対にだよね」
「なりたくないわ」
「そう思ってね」
「怖いわね」
「そうだよね」
「人間堕ちるところまで堕ちたら」
「そうなるね」
「その人のこと学校じゃ有名だから」
八条学園の生徒達の間ではだ。
「聞いてるけれど親戚のお葬式でもね」
「そうそう、やらかしたんだよね」
達川はビールを口にしながら応えた。
「ご家族でもないのに自分から上座に上がって」
「親戚の人に頼ろうってね」
「もうその時誰からも見放されて」
そうなっていてというのだ。
「その人しかすがれなくなったから」
「親しく声をかけてたって」
「これもね」
達川はまたビールを飲んだ、そうしてだった。
そのうえでだ、苦い顔でまた言った。
「お葬式でご家族でもないのにね」
「上座に上がるってね」
「もう常識外れもいいところだよ」
「礼儀作法にどれだけ反するか」
「何か見た人全員呆れたらしいけれど」
「そりゃ呆れるわよ」
そうなって当然だとだ、一華も言い切った。
「あまりにも無作法で礼儀知らずで」
「それで五十過ぎてたのよね」
「そうらしいね、その頃」
「私達でもわかるのに」
「それが五十過ぎてもわからないって」
「もうね」
「絶対にそんな人になりたくないわ」
また言い切った。
「私だって」
「誰もそう思うね」
「しかもそんなので自分はこの世で偉いと思い込んでるとか」
「もう漫画だよ」
「何もしてない、何も出来ないやり遂げたこともないのに」
「したことすらね」
「それで何処が偉いのよ」
一華は眉を怪訝に顰めさせて言った。
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