ハッピークローバー
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第五十六話 かなり飲んだのでその六
「あまりに偉そうに言うんでね」
「それで何も出来なくてね」
「愛想尽かして去って」
「それでよね」
「ずっとお世話になっていたのに」
働かない分食べさせてもらっていてというのだ。
「それでもね」
「感謝しないでね」
「出て行った奥さんに爪切りまで持って行ったって」
「怨みがましく言ってね」
「そこでやり直しで天理教で修行みたいなことさせてもらって」
「それでも心入れ替えないで」
「逆に天理教の仕組みがどうとか文句言って」
そうした行いをはじめてというのだ。
「教会に行ってもお供えしないで」
「ご飯出たらそれお腹一杯食べて」
「自分の煙草にはお金使って」
「やっぱり働かないで」
「脳梗塞から立ち直った自分の叔父さんにちょっと言われて」
「怒ってどついたろかで」
「親戚の家に今日行くで上がり込んで」
いきなりそうしてというのだ。
「お邪魔しますも言わないでふんぞり返って入ってきて」
「やっぱりご飯たらふく食べて」
「コーヒー淹れてくれんかって言って出させて」
「それも飲んでね」
「お風呂まで入ってお布団出させて寝て」
「しかも人のお部屋に勝手に入って本を漁る」
「そんな所業で」
そうしたことばかりしてというのだ。
「働かないから住んでるマンションの家賃払えなくなって」
「追い出されてホームレスになって」
「そこから探してもらって助けてもらって」
「それでもやっぱり感謝しなくて文句ばかりで」
「遂に誰からも見捨てられて」
「行方不明になったっていう」
二人でその輩のことを話していった。
そしてだ、達川は話が一段落してから述べた。
「こんな人がね」
「経験から学ばないね」
「本物の馬鹿だよ」
「そうよね、随分痛い目見てるのに」
「それでも反省しないでだよ」
「心を入れ替えないから」
「経験から学ばない」
今まさに話しているというのだ。
「本物の馬鹿だよ」
「そうよね」
一華もその通りだと頷いた。
「やっぱり」
「経験から学べたら」
それだけでとだ、達川はあらためて話した。
「本当にね」
「馬鹿じゃないわね」
「それだけでね」
「そうよね」
「本当の馬鹿になると」
「何があっても心を入れ替えないで」
反省をしないでというのだ。
「ずっと酷いままの人だよ」
「そうした人こそ馬鹿ね」
「そう思うよ、経験から学べたら」
それが出来ればというのだ。
「充分凄いよ」
「本当にそうね」
「今俺達が話した人なんて」
「最低よね」
「天理教というかそんな宗教や哲学でも」
「救えないわね」
「だって何を言っても聞かないし」
そうした輩でというのだ。
「何があっても変わらない」
「そんな人だからね」
「何でも母親が碌でもない人で」
所謂毒親であったというのだ。
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