星河の覇皇
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第八十三部第一章 防衛ライン到達その三十六
「実行に移すこともな」
「有り得ますか」
「そのうち出来るだろう」
連合ならというのだ。
「あの国は平和だが」
「刑罰は酸鼻を極めますね」
「とかく凶悪犯の人権は考慮しない」
それも全く、というのだ。
「だからだ」
「そうしたことも考えますか」
「処刑はショーであるが」
「凶悪犯をどうして惨く殺していくか」
「それを考えていってな」
その中でというのだ。
「そうしたこともだ」
「考えていて」
「実行に移すだろう」
「あの国はそうした国なのですね」
「一般市民への人権には五月蠅いが」
その保護や保証にはだ。
「しかしだ」
「それは一般市民であり」
「凶悪犯にはな」
「非道なのですね」
「徹底的にな」
そう言っていいまでにというのだ。
「そうした国だということだ」
「ある意味で正しいでしょうが」
「コーランにはないな」
「異教の考えですね」
「それも彼等が言うエウロパよりもな」
「遥かに非道ですね」
「連合はエウロパの魔女狩りを批判するが」
それでもというのだ。
「その魔女狩りと同じだけ残虐なことをだ」
「しているのですね」
「それも喜んでな」
「平然どころか」
「さらにだ」
平然としているより笑っている方が問題である、アッディーンはその人としての在り方からラシークに答えた。
「そうしている」
「コーランでの歯止めがないですね」
「コーランはアッラーが人の在り方を定められたものでもある」
「だから残虐さもですね」
「処刑の仕方を定めそれ以上の残虐さを止める為でもある」
「そうしたものでもありますね」
「だが連合はだ」
この国はというと。
「そうしてだ」
「平然とですね」
「残虐なことを行いだ」
「歯止めが利かないですね」
「相手が凶悪犯でもな」
「やはりコーランにないことは」
「サハラでは憚れる」
そうした処刑はというのだ。
「どうしてもな、だが」
「あの国は違う」
「そういうことだ、文化や文明、宗教や倫理の違いだが」
「閣下としては」
「気になった」
どうしてもというのだ。
「連合にいた時もな、そして」
「除去の仕方も」
「あの国は一般市民の権利は守り」
このことには尽力するがというのだ。
「そして正規軍もだ」
「守ろうとしますね」
「正規軍の将兵も市民だ」
連合のそれだというのだ。
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