イベリス
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第八十二話 合宿を前にしてその四
「近寄らないことよ」
「それがいいですね」
「間違っても顧問している部活なんてね」
「入ったら駄目ですね」
「好き放題殴られて」
そうされてというのだ。
「怪我してもよ」
「やっぱり泣き寝入りですね」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「本当にね」
「そんな先生には近寄らない」
「そうしないと駄目よ」
「わかりました」
「東京も酷い先生多いのに」
まただ、副部長はこうも言った。
「奈良県はもっと酷いみたいね」
「そうみたいですね」
咲も否定せずに応えた。
「あちらは」
「そんな先生が採用される時点でね」
「おかしいですね」
「コネとかそんなのかしらね」
それで採用されているというのだ。
「コネって何処にもあるし」
「ありますか」
「ええ、どんな職場でもね」
「あるんですね」
「知り合いにもコネ入社で働いてる人いるし」
「副部長さんのお知り合いの人ですか」
「叔父さんの会社に雇ってもらって」
そうしてというのだ。
「働いている人がね」
「おられますか」
「その人は別に変な人じゃないけれど」
コネ入社といってもそれで入る人間は様々だ、普通の人もいればおかしな輩も存在しているのである。
「けれど中にはね」
「そんな先生みたいな人がですね」
「コネで入って」
そうしてというのだ。
「好き放題ね」
「やってるんですね」
「だからその先生も」
奈良県のというのだ。
「多分だけれど」
「コネですか」
「それで入ってるんじゃないかしら」
こう言うのだった。
「さもないとおかしいわよ」
「そんな先生がいることが」
「一般社会だと懲戒免職だから」
その様な教師はというのだ。
「それでいられて」
「クビにならないとか」
「もう最初からね」
「コネですか」
「それで入ったんじゃない?大学で教員免許取って」
これ自体は誰でも修得出来る。
「そうしてね」
「そのうえで」
「そう、後はコネでね」
「入るんですね」
「さもないと普通採用の時点でね」
「ないですか」
「一般社会なら採用される時点で」
まさに入口でというのだ。
「ないから」
「そうした人だから」
「とてもね」
それこそというのだ。
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