ハッピークローバー
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第五十四話 夏祭りその八
「場所が必要だよ」
「お金だけじゃないのね」
「お金はあっても」
それでもというのだ。
「打ち上げ花火になるとだよ」
「打ち上げる場所が必要ね」
「それがこの近くにないから」
それ故にというのだ。
「仕方ないよ、けれど楽しいよね」
「それはね」
まさにというのだ。
「かなりね」
「かなり楽しかったら」
「それでいいわね」
「何でもあるとか」
そうしたことはというのだ。
「流石にね」
「ないわね」
「そうだよ、何でもあったら」
達川は笑って話した。
「かえって面白くないかもね」
「あっ、ゲームでも必要なアイテム揃えたら」
一華は言われて思った。
「何かそこでね」
「満足してもね」
「そこからがね」
「面白くないよね」
「そうなのよね」
「あと二つとか一つとか思いながら」
達川も話した。
「探すのが面白いんだよね」
「そうよね」
「だからね」
それでというのだ。
「この夏祭りもだよ」
「打ち上げ花火がないことは」
「残念だけれど」
「何でもあると」
「かえってね」
「面白くないわね」
「そうだよ、こうして飲んで食べて」
唐揚げを食べつつ一華に話した。
「それで一緒にお喋り出来る」
「それで充分ね」
「そうだね、じゃあビールもね」
「飲み放題だし」
「どんどん飲もうね」
「それじゃあね」
一華も笑顔で応えた、そうしてだった。
二人で話しながら飲んで食べていった、途中何度かそれぞれ席を立ってビールや食べものを持って来た。
そのうえでだった、一華は周りを見て話した。
「他の皆もね」
「それぞれだね」
「一緒ね」
見ればかな恵達もそれぞれのカップルで楽しんでいる、そして。
そのうちのなな恵を見てだ、一華は言った。
「かな恵相変わらず飲んでるね」
「あの娘合コンの時からだよね」
「もう飲むとね」
ビールをごくごくとそうしている彼女を見て言った。
「泊まらないのよ」
「そうした娘なんだ」
「ストロングだって」
こちらの系列の酒もというのだ。
「ああしてなのよ」
「凄く飲むんだ」
「そう、それでね」
一華はさらに話した。
「よく酔い潰れて」
「それでなんだ」
「成海っちのお世話になるのよ」
「そうなんだ」
「ええ、昔から何かあったら」
その時はというのだ。
「成海っちがね」
「あの娘助けてたんだ」
「そうなの、かな恵ってお母さん気質でも」
彼女のこのことも話した。
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