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ハッピークローバー

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第五十四話 夏祭りその四

「だったらね」
「今年もなのね」
「行かない筈ないでしょ」
「確かにね」
 母にそう言われるとだ、一華も確かにという顔になって頷いた。
「そうなるわね」
「そう、それでね」
「そのうえでなのね」
「二人で楽しむから」
「夫婦で」
「焼き鳥とかお好み焼き食べて」
 母は今度は出店のものの話をした。
「ビールもね」
「飲むのね」
「ビールがないと」
 さもないと、というのだ。
「やっぱりね」
「夏祭りじゃない?」
「そう、だからね」 
 そう考えるからだというのだ。
「ビールもね」
「楽しむのね」
「そうするわ」
 笑顔での返事だった。
「玉蜀黍も食べたいし」
「お母さん玉蜀黍好きだし」
「焼いても煮てもお料理にしてもね」
 どれでもというのだ。
「本当にね」
「好きよね」
「あの甘さが好きなのよ」
 玉蜀黍のというのだ。
「だからよ」
「今度も食べるのね」
「そうするわ」
 絶対にというのだ。
「お母さんはね」
「じゃあ後から」
「お父さんと一緒に」
「行くわね」
「じゃあ私はね」
 一華は母の言葉を受けて言った。
「着付け終わったら」
「足袋を履いてよね」
「下駄にするわ」
 履きものはというのだ。
「それで行くわ」
「そうしてきてね」
「ええ、そうするわ」
 こう言ってだった。
 一華は母に着付けをしてもらって浴衣を着た、そして。
 足袋それに下駄を履いて夏祭りに出た、まずはかな恵の家に行ってそのチャイムを鳴らすとすぐにだった。
 かな恵が出て来た、ピンクのに赤い金魚柄の浴衣である。
 かな恵は一華を見るとすぐに笑って言って来た。
「似合ってるじゃない」
「そう?」
「一華ちゃんって青似合うのよね」
 水色に青や青紫の朝顔柄の浴衣を見て話した。
「だから余計にね」
「似合ってるの」
「それでショーツの上に?」
「半ズボン穿いたわ」
「そうなのね。私もよ」
 かな恵はにこりと笑ってさらに話した。
「半ズボン穿いたわ」
「かな恵もなのね」
「お母さんに実はこう言われたけれど」
 ここでは小声になって囁いた。
「ティーバックにしたら目立たないって」
「いや、ティーバックは」
 そう言われてだ、一華は引いた顔になって答えた。
「ちょっとね」
「一華ちゃんはよね」
「無理よ、というかあんたも持ってないでしょ」
「面積小さ過ぎると冷えるしね」
 身体がというのだ。 
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