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第五十三話 夏祭りその一
第五十三話 夏祭り
かな恵達が暮らしている団地では催しもある、そのうちの一つとして毎年夏には夏祭りが行われるが。
バイト帰りの電車の中でだ、一華は他の四人に話した。
「今夜夏祭りよね」
「そうよね」
かな恵が笑顔で応えた。
「お店も一杯出てね」
「皆で楽しくやるわね」
「盆踊りもあるけれど」
富美子は笑って話した。
「メインはそっちよね」
「色々出るからね」
留奈は笑って話した。
「楽しみよね」
「ビールと日本酒飲み放題だし」
理虹は笑って酒の話をした。
「楽しいよね」
「うん、今夜はね」
一華も笑顔で話した。
「皆で楽しもうね」
「そうしようね。ところで皆浴衣持ってる?」
かな恵はいつものあどけない笑顔で言った。
「そっちは」
「持ってるけれどね」
それでもとだ、一華は応えた。
「私一人じゃ着られないのよね」
「お母さんに手伝ってもらって?」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「着てるから」
「いつもなのね」
「一人で着ることは」
それはというのだ。
「流石にね」
「無理なのね」
「だからここ数年ね」
「そういえば一華ちゃんずっと浴衣着てないわね」
かな恵もそういえばと答えた。
「どうも」
「そうなの、私はね」
「うちのお姉ちゃん着付け出来るわよ」
富美子が言ってきた。
「それだったらね」
「そうなの」
「一華おばさんに気使ってでしょ」
「それでどうかってなってね」
一華はそれでと答えた。
「最近はもうそのままね」
「夏の服装でなの」
「夏祭り行ってたけれど」
「それお姉ちゃんに言ったらよ」
富美子はあらためて話した。
「着付けしてくれるわ」
「それはそれで美奈代さんに悪いわよ」
一華は申し出た富美子にどうかという顔で返した。
「どうもね」
「いや、お姉ちゃんだとお菓子かお酒でね」
「いいの」
「スーパーで売ってる板チョコでもね」
一枚百円で売られているそれでもというのだ。
「いいから」
「美奈代さんはそうなの」
「あれでしょ、ただでしてくれるおばさんに悪いっていうのね」
「娘だけれどね」
「それ思うならよ」
「美奈代さんになの」
「お菓子かお茶あげてね」
そうしてというのだ。
「頼んだらいいわ」
「そうなのね」
「それいいわね、ただ一華って遠慮しがちよね」
話を聞いていた留奈が言って来た。
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