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レーヴァティン

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第二百七十九話 蘇る世界その十

「そうだな」
「ああ、それじゃあな」
「宴と女を満喫すれば」 
 戦に勝ち一つの危機を退けた祝いにだ。
「その後はな」
「まただな」
「政に戻る」
「そうか、じゃあ俺もな」
 久志は英雄の言葉を受けて笑って応えた。
「そうするな」
「そうだな、ではな」
「ここはだ」
「ああ、やっていくな」
「そうするぞ」
 二人でこう話してだった。
 仲間達と共に二つの浮島の馳走を集めた宴を楽しんだ、だが料理人達は驚きを隠せない顔で言った。
「あの、すき焼きや天麩羅」
「お寿司にお刺身ですね」
「ステーキにパスタ」
「ワインにムニエルで」
「食材もその辺りのもので」
「いつも通りですが」
「カラスミやキャビアは」
 珍味とされるものはというのだ。
「一切使っていませんが」
「宴といってもです」
「大国と言っていい国の主の方々のものとは」
「とても思えないですが」
「いや、俺達そういうの悔い慣れてないんだよ」
 久志はその料理人達に笑って話した。
「これといったな」
「食材の質もですか」
「上等のものでなくともいいですか」
「肉や魚も」
「そうなのですね」
「ああ、まして珍味と呼ばれるものはな」
 そのキャビアやカラスミ等はだ。
「起きた世界で殆ど食ったことがなくてな」
「慣れていない」
「馴染みがおありでない」
「そうなのですね」
「ああ」
 実際にというのだ。
「贅沢といってもな」
「そうした贅沢はいいのですか」
「料理にしても」
「食材の質も」
「これといって」
「そうなんだよ、皆な」 
 二十六人全員がというのだ。
「そういうのは馴染みがないからな」
「だからですか」
「すき焼きやステーキでいい」
「そうなのですね」
「そうさ、ただ量はな」 
 これはというと。
「いつも通り頼むな」
「はい、多くですね」
「それはですね」
「そうして欲しいのですね」
「美食はしなくてもな」
 それでもというのだ。
「大食はだよ」
「されますね」
「そちらは」
「左様ですね」
「いつも通りな」
 またこう言うのだった。 
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