イベリス
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第八十一話 教師の質その十一
「怖いだろ」
「狂暴よね」
「動物園の猿だってな」
その彼等もというのだ。
「油断出来ないからな」
「そうよね」
「それがニホンザルだからな」
「映画だとチンパンジーがそうよね」
猿の惑星という映画だ、チンパンジーはこの映画では良識派とされゴリラは好戦的であり野蛮とされている。
「けれどその実は」
「ゴリラの方がな」
「平和的で優しくて」
「大人しいんだ」
「そうよね」
「生きものでも言えるんだな」
父はしみじみとして述べた。
「それで咲はか」
「外見で判断しないの」
「それで愛ちゃんも最初からか」
「大好きよ」
父ににこりとして笑って話した。
「本当にね」
「そうだな」
「明るくて面倒見がよくてね」
「いい娘だな」
「頭もよくてね」
「ものの道理もわかってるな」
「だからね」
そうした人間であるからだというのだ。
「それでよ」
「ずっと一緒にいてか」
「今もね」
「一緒にいてだな」
「遊んでるわ」
彼女と、というのだ。
「言うことも聞いてるの」
「そうしているか」
「これからもね、しかし最近ね」
咲はふと気付いてまた言った。
「色々な人に出会えて」
「教わってるか」
「部活でもそうだしアルバイトでもね」
「店長さんは素晴らしい人だな」
「時々お店空けるけれどね」
速水、彼はというのだ。
「そうするけれどね」
「しっかりした人だな」
「ええ、ただね」
「ただ、どうしたんだ?」
「何か店長さんって秘密多いわ」
咲はこのことを察して話した。
「そんな感じがするの」
「そういえばそうか、お父さんも合ったな」
「うちに来てくれた時にね」
「随分しっかりした感じの人と思ったが」
それと共にというのだ。
「それだけじゃなくてな」
「そんな感じもするわね」
「ああ」
実際にというのだ。
「そうも思った」
「そうなのね」
「何かとな」
「謎が多くて」
「そうしてな」
それでというのだ。
「お店を開けることが多いこともな」
「あるっていうのね」
「悪いことはしていないな」
「そんな話はないわ、ただ本当にね」
「謎が多いか」
「不思議な人よ」
速水のことをこうも言った。
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