イベリス
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第八十一話 教師の質その九
「だから見て回るのはいいことだ、ただ危ない場所にはな」
「女の子だから」
「愛ちゃんと一緒でもな」
それでもというのだ。
「行かないことだ」
「それがいいわね」
「色々巡っても危ない場所は行かないことだ」
「東京も色々な場所があるしね」
「だからな」
それでというのだ。
「危ない場所もあるしな」
「歌舞伎町の裏とか」
「歌舞伎町は表はまだいいが」
「高校生が歩いたら駄目だしね」
「大学に行ってからでいいな」
「おおっぴらで飲める様になって」
「そうした場所だしな」
歌舞伎町は繁華街である、大阪で言うと難波や北新地になるだろうか。それだけに飲める店がかなり多い。
「だからな」
「大学生になって」
「飲める様になってからだ」
「行くといいのね」
「それでも裏にはな」
「行かないことね」
「そうすることだ」
まさにというのだ。
「最初から危険な場所には行かないことがな」
「一番ね」
「だからな」
それでというのだ。
「そうした場所にはな」
「行かないでおくのね」
「そうだ」
こう言うのだった。
「お前自身の為にもな」
「危ない場所は行かないことね」
「東京でもな」
「そうするわね」
咲は父の言葉に素直に頷いて答えた。
「これからも」
「ああ、絶対にな」
「色々観て回っても危険な場所には近寄らない」
「それが絶対ね」
「死ぬことだってあるしな」
「ああ、東京も色々な人がいるし」
「悪い人だって一杯いるんだ」
東京という街はというのだ。
「日本で一番人が多い街だけあってな」
「悪い人も多いわね」
「その分な」
「そうよね」
「世界屈指の人口があるなら」
東京は一千万都市と言われる、それだけ人口がいるということだ。関東圏全体で考えると二千数百万はいる。まさにメガロポリスだ。
「悪人の数もな」
「世界屈指ね」
「そうなるからな」
「簡単な理屈ね」
「だから気をつけるんだ」
「東京は悪い人も多い」
「そうした街ということもだ」
まさにというのだ。
「しっかりとな」
「頭に入れて」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「見て回るんだ、愛ちゃんともな」
「一緒によね」
「見て回ることもな」
「いいのね」
「そうだ、最初はどうかと思ったが」
その派手なファッションからだ。
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