ハッピークローバー
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第五十一話 暴力の代償その三
「あるのよ」
「そうなのね」
「だから暴力はね」
それはというのだ。
「絶対によ」
「振るったら駄目ね」
「それに暴力を振るってる人の顔見るのよ」
母は太刀魚の身を箸で取った。
そうしてから口に入れてご飯のおかずにしつつ話した。
「酷いお顔してるでしょ」
「醜いっていうのは」
留奈もそうした時の人間の顔を思い出して答えた。
「ああした表情ってこと?」
「その通りよ、それでいつも暴力を振るっていたらね」
「その表情が固まるの」
「それで悪いお顔になるのよ」
「よく生き方は顔に出るっていうけれど」
「それは人相でね」
「悪い生き方だとなのね」
母にこう言った。
「悪い人相になるのね」
「目の光とか雰囲気もね」
「悪くなるのね」
「だから暴力をいつも振るってると」
「悪いお顔になって」
「悪い目の光になってね」
そうしてというのだ。
「悪い雰囲気によ」
「なるのね」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「暴力は振るったら駄目なのよ」
「自分の為にも」
「悪くなりたくなかったらね」
人としてというのだ。
「そうすることよ」
「そのこともわかったわ」
「そんなことしたら幾ら元の顔立ちがよくてもね」
「悪いお顔になるのね」
「そうなるのよ」
「そういえば元プロ野球選手でもいるわね」
留奈はふとある人物のことを思い出して話した。
「自称番長の」
「桑田さんと一緒に言われた人ね」
「あの人なんかは」
「そうよ、西武の頃は普通だったのがね」
「巨人に行って変わったっていうけれど」
「あれはそこで生き方が思い切り悪くなってよ」
「ああなったのね」
「まさにサンプルよ」
彼こそはというのだ。
「後輩で地味な感じの選手いじめる様なことしたりね」
「したりして」
「ああなったのよ」
「何で周りは止めなかったのかしら」
留奈はこのことが不思議だった。
「誰が見ても悪くなっていってたのに」
「周りもおかしかったのよ」
「あの人だけでなくて」
「自称番長とか言ってね」
そうしてというのだ。
「碌でもないことしてもそれを持て囃したのよ」
「だからどんどん駄目になっていって」
「ああなったのよ」
「周りも馬鹿だった」
「そうよ、悪い生き方になっても」
「誰も止めるどころか持て囃す」
「それも駄目だから。暴力も駄目で」
そしてというのだ。
「他の悪いこともね」
「駄目で」
「それでよ」
「ああはならないことね」
「絶対にね」
まさにというのだ。
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