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ヘタリア大帝国

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セーシェル星域にてその五

「それも何だしな」
「エイリスに亡命はされませんか」
「ここで負けたら向こうに入っても肩身狭いからな」 
 一応連合の五国の一つだがそれでもだというのだ。
「ちょっとやりにくいな」
「ではやはり」
「降伏するしかないよな」
 敗北が前提となっている。フランスはもうそう考えていた。
「ここで負けたらな」
「そうですか」
「ああ、とりあえず戦ってな」
「その結果で、ですね」
「決めるか、どうするか」
 こうした話をしてだった。オフランス軍はセーシェルに布陣した。この時ビルメはセーシェルの乗艦にいた。その艦橋でセーシェルに言っていた。
「祖国さんの意見は聞かなかったね」
「そうね。絶対に勝てるって」
「潮流のこと言ったね」
「ええ、お話したわ」
 そうしたとだ。オフランス軍の軍服を着ているセーシェルはビルメに話した。
「それでもね」
「ここの潮流結構ややこしい流れなんだけれどね」
「その潮流から来たら丁度横を衝かれる場所に布陣してるから」
 セーシェルもこのことを言う。伊達にこの星域の国ではない。
「多分この戦いは」
「横から攻められて総崩れだね」
「そうなるわ」
 セーシェルはもうわかっていた。この戦いがどういった流れになるのか。
「しかもその横にいるのが」
「オフランス軍だよ」
「数はそれなりにいるけれど」
「あれは駄目だね」
 ビルメはオフランス軍についてばばっさりと斬り捨てた。勝てないとだ。
「横をいきなり衝かれてね」
「それで負けるわね」
「せめて祖国さんかフランスさんでも行けばね」
「そういえば布陣もおかしいから」
 セーシェルは今のオフランス軍の布陣を見た。その敵が来るであろう方に弱い戦力を置いているだけではなかった。
 セーシェルやフランス兄妹、それにシャルロットの艦隊を後ろに置いている。つまり戦える戦力を前線には置いていないのだ。
「これは」
「いきなり攻められて蛸殴りだよ」
 アライグマそっくりの顔で容赦なく言う。
「それで終わりだよ」
「そうなるわよね」
「こっちに来るまでに戦力の殆どがなくなって終わりさ」
「ううん、ビジーさんってかなり」
「ここのこともわかってないし相手のこともわかってないね」
「己を知らず敵も知らずなのね」
「これで勝てるものじゃないよ」
 ビルメの容赦のない言葉は続く。
「まああたしには基本どうでもいいことだけれどね」
「若し日本さんが勝ったな」
「独立できるわね」
「そうだよ。だから悪い話じゃないよ」
 これはセーシェルにとっても言えることだった。これまではオフランスの植民地だがそれが遂にだというのだ。
「それもね。ただね」
「ただ?」
「あたし実はフランスさんもシャルロットさんも嫌いじゃないんだよ」
 植民地にされているがそれでもだというのだ。
「まあフランスさんはあれだけれどね」
「ちょっと以上に変態だけれどね」
「それでも悪い人じゃないよ」
 フランスの内面を見極めていることは見極めているのだ。
「特にシャルロットさんはね」
「そうよね。凄くいい人よね」
「政治家としても軍人としても成長していってるしね」
「あの人達負けたらどうなるのかしら」
「負けたら降伏するしかないよ」
 ビルメにしてもそう見ていた。そうなることは明らかだった。 
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