ヘタリア大帝国
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TURN50 セーシェル星域にてその二
「だからオフランス軍は潮流の影響を受けないたい」
「というかこれ相手絶対潮流のこと知らないわよ」
クリオネはこう指摘した。
「そうとしか思えない布陣ね」
「そういえば敵の主力はビジー軍だね」
南雲が指摘するのはこのポイントだった。
「オフランス軍だけれどね」
「フランスさんに妹さんもおられますね」
日本はこの二人の艦隊も確認した。
「それにセーシェルさんも」
「セーシェルさんはよく御存知だと思いますが」
タイはこう言って首を捻った。
「アドバイス等は」
「フランスさんはともかくビジー総司令が聞かなかったんだろうな」
東郷はこう予想した。
「それでこの布陣になっている」
「そういうことですか」
「元々オフランス軍は祖国防衛に主力を置いていて」
そしてだというのだ。
「こちらの艦隊も平和主義で駐留場所すら碌に調査していなかったんだろうな」
「それは軍としてどうかと思いますが」
生真面目なエルミーにとっては考えられないことだった。
「駐留場所とその近辺を調査しないのは」
「それが今のオフランス軍の実態です」
小澤が淡々とそのエルミーに答える。
「軍としてどうかとは思いますが」
「それでもですか」
「我々にとってはいいことです」
そうだというのだ。
「付け入る隙です」
「それならだ」
ここで東郷は作戦を話した。
「軍を二手に分ける。一方は正面から敵軍に向かい」
「そしてですね」
「もう一方の軍は」
「そうだ。潮流に乗り高速で敵軍の側面を衝く」
秋山と日本に話す。
「そうして攻めよう」
「では一方は司令が率いられるのですね」
「正面から攻める軍は俺が率いる」
秋山に述べた言葉だった。
「そしてもう一方の指揮は」
「どなたが」
日本は真剣な目で東郷に問うた。
「率いられますか」
「サフラン、いいだろうか」
東郷はサフランを見て彼女に声をかけた。
「ここは」
「私ですか」
「ああ、全速力で潮流を進んでだ」
「敵の側面を一気に衝くのですね」
「この戦いを決める戦力になる」
まさに決戦兵力だった。戦局を決定付けるという意味で。
「頼めるか」
「私でよければ」
サフランは淡々とした口調だが東郷に答えた。
「そして俺の副官はだ」
「どなたが」
「ネルソン提督にしたい」
秋山に応えながらネルソンに顔をやっての言葉だった。
「いいだろうな」
「お任せ下さい」
ネルソンはエイリス軍人らしく礼儀正しくかつ端正に答えを返した。
「では」
「サフランの副官はアグニだ」
「僕ですか」
「頼んだぞ。それじゃあな」
「はい、わかりました」
アグニも笑顔で応える。こうしてそれぞれどの提督が回されるかも決められた。エルミーはそういったことが決まった後会議室を後にしながら日本に対して囁いた。
「まさかと思いました」
「まさかとは」
「はい、日本帝国がここまで勝つとは」
「インド洋の掌握も間近だというのですね」
「お言葉ですがすぐに破れると思っていました」
エルミーは己の予想を話した。
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