X ーthe another storyー
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第二話 来訪その七
「夢見の姫さんですね」
「そう呼ばれています」
丁は目を閉じて答えた。
「丁といいます」
「天の龍の一人として来ました」
「高野山からですね」
「そうしました」
笑顔で答えた、ここでも。
「今しがた」
「そうですか、では」
「これから働かせてもらいますわ」
丁に陽気に話した。
「存分に」
「宜しくお願いします」
丁は畏まって応えた。
「是非」
「それじゃあ、ほな早速」
空汰は自分から言ってきた。
「神威をですね」
「お話を聞いていましたか」
「聞くつもりやなかったんですが」
このことは少し苦笑いで述べた。
「すいません」
「構いません、では」
「はい、行ってきますわ」
「そうしてくれますか」
「早いうちに揃った方がええですね」
「確かに」
丁はその通りだと答えた。
「早いならです」
「早いだけですわ」
「それでは」
「行って来ますわ」
早速と言うのだった。
「ほなよろしゅう」
「はい、しかしです」
「しかし?」
「無理はされないで下さい」
こう空汰に告げた。
「決して」
「最後の天の龍とはでっか」
「司狼神威とは」
その彼の名前も話した。
「龍と龍が戦えばです」
「お互い強いだけあって」
「双方傷付き」
そうなりというのだ。
「命すらもです」
「そのやり取りの戦ですさかい」
「わかりません、まして彼は天の龍です」
「仲間同士で争ったらあきませんわ」
「その通りです、ですから」
「神威とはでっか」
「出来るだけです」
「そうでんな、そこの兄さんと一緒で」
「面目ありません」
玳透は空汰に苦い顔で答えた。
「暫くは戦えなくなりました」
「いや、充分戦ったさかいな」
空汰は玳透に優しい笑顔で話した。
「そうやさかいな」
「だからですか」
「名誉の負傷や」
それになるというのだ。
「そうやさかいな」
「それで、ですか」
「今は養生するんや」
怪我を治すことに専念すべきだというのだ。
「ええな」
「それでは」
「ああ、ほなな」
「今はですね」
「ゆっくり休むんや」
「そうします、あと僕はです」
「ああ、わいより年下やな」
空汰は自分から話した。
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