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ハッピークローバー

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第四十六話 海を前にしてその七

「創作もね」
「いや、創作って」
「当時はプライバシーとかもなくて」
 明治の頃はそうした話もなかった。
「昭和でもプロ野球選手の住所出てたし」
「そうなんですか」
「本にね」
 野球関係のだ、その為自宅に来るファンもいたのだ。
「そうした風で伊藤さんの女好きのお話も」
「創作されてたんですか」
「そうよ、中には誹謗中傷みたいな」
 その域に達したというのだ。
「酷いのもあったわ」
「そうだったんですか」
「けれどそうしたお話も笑い飛ばしていたのがね」
「伊藤さんなんですね」
「だから私好きなのよ」
 店長は明るく笑って話した。
「今あんな人いたら惚れるわ」
「それでお付き合いされますか」
「今の彼に会ってなかったらね」
 理虹ににっと笑って述べた。
「自分から告白してね」
「ご自身からですか」
「それだけの人よ」
「そうなんですね」
「フランスの王様は嫌だけれど」
 フランソワ一世はというのだ。
「ですが」
「伊藤さんはですね」
「惚れるわ、けれど今はね」
「彼氏さんがおられるので、ですね」
 一華が言ってきた。
「されないんですね」
「ええ」
 実際にというのだ。
「今はね」
「そうですか」
「浮気はしないから」
 これはというのだ。
「だからよ」
「相手の人がいたら」
「もうね」
 それならというのだ。
「しないわ」
「そこは真面目ですね」
「相手が総理大臣でもよ」
 それでもというのだ。
「浮気はしないわ」
「そうですか」
「浮気は後で報いがあるから」
「あります?」
「あるわよ、親戚の人でね」
 身内の話をするのだった。
「そうした人がいたのよ」
「浮気する人が」
「男の人だったけれど」
「どんな風だったんですか?」
「奥さんいたけれどキャバクラのお姉さんとね」 
 その彼と、というのだ。
「浮気をしてね」
「大変なことになったんですね」
「奥さん怒ってね」 
 その浮気にというのだ。
「連日連夜大騒ぎで」
「大変なことになったんですね」
「離婚になったけれど」
 それでもというのだ。
「もう酷かったのよ」
「そうですか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「それを見て私わかったのよ」
「浮気は後で報いがきますか」
「そうよ、ばれるから」
 浮気はというのだ。 
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