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レーヴァティン

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第二百七十四話 その時が来てその七

「俺は表情や口調にだ」
「感情を出さない様になったんだな」
「そうしたものを出したくないと思ってな」
 そうしてというのだ。
「出さなくなった」
「そうだったんだな」
「尚その親戚はもういない」
 その顔と声で話した。
「イキってヤクザ屋さんの女を無理にだ」
「ああ、それでか」
「今は行方不明だ」
「馬鹿だな、そりゃ」
「最底辺の高校でも有名な屑でな」
 それでというのだ。
「日頃の行いもそのものだったが」
「屑か」
「よりによってそうしたことをしてだ」
 そうしてというのだ。
「今はな」
「行方不明か」
「南港にでもいるかもな」
 大阪のそこにというのだ。
「コンクリートに詰められてな」
「大阪の話だな」
「それかダムの底だ」 
 南港でなければというのだ。
「干上がると出て来るかも知れない」
「よく聞くな」
 久志もだ、アウトローの世界で人を消すとその死体はそうしたところに夜遅く捨てて証拠を消すという。
「そうなってるか」
「まあそうなってもな」
「いいか」
「屑過ぎて誰からも嫌われていたしな」
「親戚からもな」
「ご近所からもな」
「余程行いの悪い奴だったんだな」
 久志もよくわかった。
「つくづく」
「だからだ」
「ヤクザ屋さんの女の人にか」
「それも奥さんだ」
「余計に悪いな」
「口癖はしばくぞでな」
 それでというのだ。
「努力もせず思いやりもなく底意地も悪い奴だった」
「いいところないな」
 これまで聞く限りだととだ、久志も思った。
「つくづく」
「無責任で図々しくかつ自己中心的だった」
「友達いそうにないな」
「付き合いのある奴はいたが」
 それでもとだ、久志に話した。
「わかるな」
「ああ、内心嫌われていたな」
「そんな奴だったから行方不明になってもな」
「誰も悲しんでいないか」
「清々したとな」
 その様にというのだ。
「言われている」
「本当に嫌われていたんだな」
「そして俺もだ」
「その親戚を反面教師にしてか」
「やっていってな」
 そうしてというのだ。
「表情も口調もだ」
「出してないか」
「醜いものだと思ってな」
「表情や口調がか?」
「子供の頃だ」
 そう思ったのはというのだ。
「あくまでもな、だが」
「それでもか」
「その頃はそう思った」 
 子供の頃はというのだ。 
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