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総合点で美人

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第一章

                総合点で美人
 女子大生の常盤静香は自信がないタイプだ、それは彼女のコンプレックス故のことだ。
「私ブスだから」
「えっ、嘘だろ」
「静香ちゃん奇麗よ」
「滅茶苦茶美人だろ」
「そうよね」
 周りは本気で言う彼女にいつも驚いてこう言った。
「スタイルいいし」
「胸大きくてウエスト引き締まっていて」
「脚だって長くてすらりとしていて」
「髪の毛も長くて絹みたいで黒い中にツヤがあって」
「皆そう言うけれど」
 そのスタイルで言うのだった。
「けれどね」
「自信ないんだ」
「静香ちゃんとしては」
「ブスだって言うんだ」
「そうなのね」
「子供の頃そう言われたの」
 そう思う理由も話した。
「ずっとね、色々な子に」
「いや、子供の頃はな」
「皆そう言うでしょ」
「子供って平気で悪いこと言うよ」
「私達だってそうだったかもだし」
「けれどじっと言われて来たから」 
 子供の頃はというのだ。
「それでね」
「今もなんだ」
「静香ちゃん自分ブスって言うんだ」
「そう思ってるんだ」
「そうなのね」
「そうなの」 
 実際にというのだ。
「本当にね」
「けれどその顔も」
「別にね」
「ブスかな」
「違うわよね」 
 見れば小さ目の目と口で結構以上に面長の顔で顎が長い。眉は細長く頬は痩せている。皆静香のその顔を見ても言うのだった。
「ブスじゃないでしょ」
「そうだよね」
「正直に言うけれど」
「とてもそこまでは」
「けれど美人とは思わないから」 
 自分はとだ、静香はまた言った。
「本当にね」
「そうかな」
「滅茶苦茶美人だと思うけれどな」
「かなりポイント高いよ」
「どう見てもね」
 周りはそんな彼女にこう言う、だが静香だけはだ。
 自信がなかった、そんな中でだ。
 ある人が彼女を見てだ、驚いて言ってきた。
「あの、私八条芸能モデル部門の者ですが」
「えっ、あの大手事務所の」
「はい、こう言う者です」 
 静香に名刺も渡して話した。
「以後宜しく」
「はい、それで私に何か」
「何かもありません」 
 率直に言ってきた。
「よかったらうちの事務所に入りませんか」
「八条芸能にですか」
「それでモデルとして」
 それでというのだ。
「活動されませんか」
「いえ、とても」
 静香はその人、スカウトしてきた中年男性に戸惑った声で応えた。
「私は」
「駄目ですか」
「ブスですから」 
 スカウトにもこう言うのだった。
「とても」
「ブス?貴女が」
「はい、ですから」
「とんでもない、率直に申し上げますが」  
 スカウトは戸惑って言う静香に真剣な顔で答えた。 
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