| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ウルトラマンカイナ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

聖夜編 ウルトラファンロンファイト

 
前書き
◇今話のヒロイン及び登場メカ

駒門琴乃(こまかどことの)
 BURK日本支部きっての女性エースパイロットであり、部下達からの信頼も厚い質実剛健な女傑。亜麻色のストレートヘアを靡かせるスタイル抜群の美女。当時23歳。
 スリーサイズはバスト108cm、ウエスト62cm、ヒップ91cm。カップサイズはL。

劉静(リウジン)
 BURK中国支部から惑星調査隊に参加していた爆撃機隊の女性パイロットであり、ボーイッシュな顔立ちと紺髪金眼が特徴。22歳。
 スリーサイズはバスト94cm、ウエスト60cm、ヒップ91cm。カップサイズはG。
 ※原案は俊泊先生。

◇BURK風龍(ファンロン)
 BURK中国支部をはじめとする多くの支部で制式採用されている現役の複座型爆撃機であり、Tu-22Mを彷彿させる鋭角的なシルエットが特徴。翼下のハードポイントにはスペシウム弾頭が搭載されている。
 ※原案は俊泊先生。


 

 
 ウルトラアキレスが暁嵐真(あかつきらんま)と一体化し、この青い地球を守り抜くための戦いに立ち上がってから数ヶ月。

 数多の死闘を経て、救世主としての名声を不動のものにした彼は、ようやくこの年の白き聖夜(ホワイトクリスマス)を迎えようとしていた。戦いの日々に疲れ果てた心を、ほんの僅かでも癒すために。

 ――だが、侵略者達には地球人の都合など通用しない。例えクリスマスだろうと年の瀬だろうと、彼らは己の野望に従い攻撃を仕掛けて来るのだ。

『デュウワッ!』
『フォオッ!』

 純白の雪が降り積もる、東京の遊園地。
 先ほどまで艶やかなネオンに彩られていたその敷地内の設備を次々と薙ぎ倒しながら、遥か遠くの星から来た巨人達は、真冬の夜に苛烈な格闘戦を繰り広げている。

 幾多の死線を潜り抜け、一流のウルトラ戦士に成長したアキレス。
 そんな彼とも互角の勝負を繰り広げているのは――古くから「宇宙忍者」の異名で恐れられている、永遠の宿敵ことバルタン星人だった。

(こいつ、バルタン星人なのに分身もテレポートも使っていない……! そんな力に頼らなくても、俺なんて簡単に倒せるって言いたいのかッ……!?)

 影分身やテレポートといった特殊能力を得意とするはずの彼は、敢えてその一切を使おうとせず、真っ向からの肉弾戦だけでアキレスと渡り合っている。

 だが、その佇まいには常に「余裕」の色があることから、決してその手の能力が使えないわけではないようだ。
 アキレスが察している通り、バルタン星人は能力に依存することなく彼を倒そうとしているのだ。

 両者の殴り合いによって半壊した遊園地。その敷地内で辛うじて破壊されずに残っていた設備に灯るネオンの光が、真正面から組み合う巨人達を照らし上げている。

『フォオッフォオッフォオッ……!』
『デュッ……!?』

 その設備すらもグシャリと潰されてしまったのは、それから間も無くのことだった。
 アキレスの両腕を鋏で捕らえたバルタン星人が、組み合いの体勢から急速に身を引いたのである。巴投げの要領で投げ飛ばされてしまったアキレスは宙を舞い、設備の上に叩き付けられてしまうのだった。

『フォッフォッフォッ……』
『デュ、ウゥッ……!』

 能力になど頼らずとも、お前を殺すことなど容易い。言外にそう告げているかのように、バルタン星人は特徴的な声を上げてアキレスの姿を嘲笑っている。

 一方、設備に叩き付けられたアキレスはダメージの蓄積が激しいのか、その場から上手く立ち上がれずにいた。そんな彼を踏み付けてやろうと、バルタン星人は地響きを立ててアキレスの背に迫ろうとする。

『……! あれは……!』

 ――だが、そうはさせじと1機の爆撃機が空を切って飛び込んで来た。

 Tu-22Mを彷彿させる鋭角的なシルエットを特徴とする、現役爆撃機のBURK風龍(ファンロン)だ。

 BURK中国支部で主に運用されている機体であり、そのうちの1機が試験的に日本支部にも配備されていたのである。
 翼下のハードポイントに搭載されている高性能スペシウム弾頭「神虎炸裂誘導弾(シェンフーミサイル)」は、すでに発射体勢に突入していた。

「アキレス、そのまま伏せるんだッ! ここは私達に任せろッ!」

 レーシングバイクのシートを想起させる、伏臥式のメインコクピット。
 そこに座している駒門琴乃(こまかどことの)隊員は、Lカップの白い爆乳をシートにむにゅりと擦り付けながら、安産型の桃尻をばるんっと突き出し、亜麻色のロングヘアを艶やかに振り乱して声を張り上げている。

 その豊満な肉体に滲む甘い女の香りが、狭いコクピット内に充満していた。よほど強靭な理性を持っている男性隊員でなければ、今の彼女を前にして平静を保つのは難しい。

「待たせたな、アキレス! 中国支部から仕入れたコイツで……目にモノ見せてやらァッ!」

 その後方に座していた弘原海(わだつみ)隊長も。眼前に突き出された琴乃の爆尻と、そこから漂う蠱惑的な芳香に気を取られることなく、鋼の理性を駆使してアキレスを鼓舞していた。

 並の男性隊員なら、琴乃のむっちりとしたヒップに目を奪われていたところだが。そんなことでは、爆乳美女揃いの日本支部での隊長など務まらないのである。
 一部の隊員から「ゴリラ」と揶揄されることも多い質実剛健な巨漢は、目の前の巨尻も意に介さず、「戦友」であるアキレスの窮地にのみ目を向けていた。

「僕達が来たからには……もう安心だよ、アキレスッ!」

 そして――さらに後方のブリッジから2人を指揮していた、中国支部出身の劉静(リウジン)隊員も、アキレスを励ますように凛々しい声を上げている。鋭い金色の眼は、バルタン星人の巨体を勇ましく貫いていた。

 鋭い切れ目の眼差しと、琴乃にも劣らぬ圧倒的なプロポーションを誇るボーイッシュな爆乳美女。そんな彼女は日本支部にBURK風龍の運用方法を教導するため、中国支部から一時的に来日していたのだ。

神虎炸裂誘導弾(シェンフーミサイル)……発射ッ!」

 ナイフのように鋭い眼光でバルタン星人を射抜く彼女が、白い手を前方に振って指示を飛ばす。
 その仕草の弾みで、Gカップの乳房と安産型のヒップがどたぷんっと躍動し。扇情的な女体に滲む甘い匂いの汗が、紺色のショートヘアから勢いよく飛び散る。数多の男性隊員を狂わせて来た彼女の肉体から滲み出る芳香が、このブリッジ内を満たしていた。

 その瞬間、彼女の気品溢れる声色に応じて発射されたスペシウム弾頭が、バルタン星人目掛けて襲い掛かって行く。
 バルタン星人にとって、スペシウムは最大の弱点。当たれば当然、タダでは済まない。

『フォオッ……!』

 自身の「天敵」であるスペシウムで精製された弾頭を目の当たりにした宇宙忍者は、焦燥を露わにその場からテレポートで移動するのだった。

 これまで特殊能力に頼らずアキレスを圧倒していた彼は、とうとうそれまで保っていた「余裕」を失ったのである。そして外されたスペシウム弾頭は、アキレスの近くに着弾しようとしていた。

「不味い、このままじゃアキレスにッ!」
「いいえ隊長、これで良いのです。……彼になら喜んで貰えることでしょう。僕達からの、ささやかな『クリスマスプレゼント』なのですから」
「な、なに……!?」

 その危機的状況に、琴乃と弘原海が焦りの声を上げる中。劉静は独り蠱惑的な微笑を浮かべ、玉座のような指揮官用の大きな肘掛付きの椅子に腰を下ろし、白く肉感的な両脚を組んでいる。安産型のヒップはむにゅりと形を変え、白い乳房もその弾みでぷるんっと揺れ動いていた。

 女性を惑わす中性的な美貌と、雄の本能を掻き立てる芳醇な色香とプロポーション。
 その両方を併せ持ち、その肉体から絶えず甘い芳香を振り撒く「中国支部の王子様」は、優雅な佇まいで真紅の巨人を見下ろしていた。

『デュッ……!』

 幾人もの男性隊員達の情欲を煽って来た、挑発的にして蠱惑的な劉静の微笑。
 その妖艶な笑みを遠方から目撃したアキレスは、彼女の「意図」を察すると即座に上体を起こして、スペシウム弾頭に指先を向ける。

 彼の指先から発せられた念力が、「弾道」を捻じ曲げたのはその直後だった。

『……デュァァアーッ!』

 そして、バルタン星人がテレポートで逃げた先へと――スペシウム弾頭を向かわせたのである。

『フォオオオーッ!?』

 念力による軌道変更までは予測出来なかったバルタン星人は、とうとうスペシウム弾頭に直撃してしまうのだった。
 凄まじい爆炎が天を衝き、宇宙忍者の巨躯を飲み込んで行く。

「ふふっ……どうやら、我々の『クリスマスプレゼント』は正しく届けられたようですね。弘原海隊長も駒門隊員も、ご協力頂き感謝致します」
「劉静隊員、お前は初めからそのつもりで神虎炸裂誘導弾を今の発射角から……?」
「人が悪いぜ、全くよぉ……!」
「うふふっ……それはそれは。お褒めに預かり光栄です」
「……はぁ〜」

 その光景を優雅に見届けている劉静は、初めからアキレスの念力も作戦に入れて、スペシウム弾頭を撃つよう指示していたのである。
 自身の予測通りに動いた2人の巨人を見下ろす女傑は、得意げな笑みを浮かべて背を反って胸を張り、長い脚を組み直していた。一方、弘原海と琴乃はそんな劉静の振る舞いに顔を見合わせ、深々とため息を吐いている。

「敵を騙すには、まず味方から。ふふっ……僕の好きな言葉です」

 艶やかな笑みを溢す劉静が、白く優美な脚を組み替える際。引き締まった腰を少しくねらせただけで、豊満な乳房がぷるぷると揺れ、大きな桃尻がむにゅりと歪んでいた。

 同僚の男性隊員や上層部の高官を含む多くの男達が、我が物にしようと虎視眈々と狙い続けている極上の女体は、その隅々に濃厚な香りを滲ませている。

『……』

 そんな彼らを他所に、アキレスとバルタン星人は未だに睨み合いを続けていた。

 弱点であるスペシウム弾頭をまともに喰らったというのに、このバルタン星人はなおも生き延びていたのである。

『……よもや、我にこれほどの深傷を負わせる者共が地球に居たとはな。ウルトラ戦士の貴様さえ倒せば、後は烏合の衆に過ぎんと思っていたが……!』
『BURKの皆を侮っていた時点で……すでに勝負は決まっていたんだ。もう退け、バルタン星人! そして2度と、この地球に現れるな!』

 その尋常ならざるタフネスから、この個体が並々ならぬ「強豪」であることを理解していたアキレスは、ここで決着を付けるのは困難であると判断し、撤退を促している。

 だが、スペシウム弾頭を浴びてもなお両の脚で地を踏み締めているバルタン星人は、ふらつきながらも首を振って「拒絶」の意を示していた。

『ふっ……そうは行かん。我には……この星を制し、来るべき「決戦」に備えるという使命があるのだ。それが果たされる日が来るまでは……我は断じて、この星を諦めはせん!』
『決戦……!? どういうことなんだ、それは!』
『……貴様がこの先も生き残り続けていれば、自ずと分かることだ。覚えておけ、我が名は「ラスヴァーダ」! いつか貴様達を滅ぼし、この惑星を掌握する覇者の名だ!』

 ラスヴァーダと名乗ったバルタン星人は、よろめくように数歩引き下がると――再びテレポートで忽然と姿を消してしまう。
 今度は短距離の移動ではなく、星そのものから離脱するほどの長距離転移であった。

『ま、待てッ! ラスヴァーダッ! 「決戦」って……一体、どういうことなんだ……!?』

 咄嗟に手を伸ばすも、空を掴むだけに終わってしまったアキレスは、バルタン星人ことラスヴァーダの気配が完全に消失したことを悟り、独り夜空を仰ぐ。

 しんしんと降りしきる白い雪と、艶やかなネオンに彩られた夜景に彩られた聖夜。
 その夜空の下に立つ真紅の巨人は、戦いに疲れた心を癒す間も無く、紅い拳を握り締めていた。

 彼が言い残した「決戦」という言葉には、どのような意味が込められているのか。その意味が分かる時、自分はまだ生きているのか。頭上を旋回飛行しているBURK風龍に見守られる中、アキレスは独り思案する。

 それら全てが解き明かされるのは、この戦いから約5年後のことであった――。
 
 

 
後書き
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧