チートゲーマーへの反抗〜虹と明星〜
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L7話 Super star【明星】になるべき者たち
前書き
ようやくLiella編に来たぜ……
あと仮面ライダーグレアがちょっと個人的ブームになってます。
「ここは…ハヤトさんの家デスか?」
「あぁ———正確には、師匠の家だけど。」
速人に連れられて、俺こと伊口才の邸宅にやってきたかのん、可可、そのコーチ役である千砂都、そして那由多。
早速5人は速人の誘導で漢方屋に侵入、店頭を突破して、奥地に潜んでいたエレベーターへと乗り込む————全員乗り込んだことを確認した速人はB3と描かれたボタンを押す。
「地下三階……そういえば入ったことなかったかも…」
「あ、たしかに!」
かのんの言葉に千砂都も同調する。すると速人が2人に顔合わせずに、話を始める。
「当然も当然……ここは師匠が秘密で作ったところだからな。そして去年、俺だけ初めて知ったところだ。」
「「へぇ……」」
速人が事情をペラペラと話すのに対して、那由多は口を挟まないことに千砂都は疑問を持つ。
「那由多くんは知らなかったの?」
「あぁ…初耳っていうか、本当に地下三階があったことが初耳っていうか———え、マジなのか速人?」
訊いてくる那由多に、顔を合わせずも大きなため息をついて速人はスパッと答えてしまう。
「正直、お前に知られないように師匠はずっと黙ってたんだ……『馬鹿で短期な那由多に俺のコレクションをぶち壊されたらそれこそ半殺しにしなきゃいけない』って師匠が言うもんだから、俺も黙ってた。」
「コレクション……?」
「さ、ついたぞ。」
かのんが尋ねようとしたところで、エレベーターは地下三階へと到達する。
スーッとエレベーターの扉が開く……5人の前に飛び込んできた空間————それは……おびただしい数の多種多様な光だった。
「これは……
「「「「ゲームセンター!?!?」」」」
その白い空間に敷き詰められた店舗に実装されるであろうゲーム台。レトロゲームからモダンなゲームまで年代順にうまく並べられている……その律儀さはゲーマーである者しか理解できぬこだわりを感じさせる。
その豪勢さに圧巻されているかのんと千砂都……対して可可は「あるゲーム機」を見て目をぱちくりさせ———叫んだ。
「ア、ア、アレハ……!/////」
「ど,どうしたの可可ちゃん!?」
「あれはモシや〜!!!」
かのんの言葉など耳に入れず、一直線にその場所へ向かう可可。何事かとその場にいた速人以外の3人もその後を追う。
可可が向かったゲーム機……それは————
「これは……『スクールアイドル!リズムバトラー!!』ではないデスか!!」
「リズムバトラー?そんなゲームあったっけ……?」
「知らないのデスかカノンさん!?このゲームは伊口ファウンデーションが手がける世界中のスクールアイドルのダンス情報と歌声をインプットして、その動きと歌をプレイできるとんでもないシロモノ…!そしてこのモデルはカノ有名なレジェンドスクールアイドル Aqoursの絵柄が描かれた世界でほんの僅かしか発売されていないレアすぎるモノ————クゥ〜!!!サ、サワリタイ…!」
「なんかよくわからないけど、とりあえず凄いゲーム機なんだね……w」
若干引くかのん……そこへゆっくりと近づいてきた速人が練習要員であるかのんと可可に声をかける。
「早速そのゲームで遊んでみろ……それが俺の思いついたアイデアだ。」
「え!?」
「触ってもイイノデスカ!?」
「あぁ、嫌って言うほど遊べばいい。」
「なるほど!これならリズムゲームが得意な可可ちゃんの長所を活かしながら、ダンスの基本を身につけられるってことだね!」
ポンと手を叩いて速人の考えを理解した千砂都。
「じゃあ早速、やってみよう!可可ちゃん!」
「おー!」
〜〜〜〜〜
「はぁ…はぁ…はぁ……」
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ……くぅ〜」パタリ
全身から吹き出した汗と共になりふり構わず地面に倒れ込む可可とかのん—————そのあまりの無防備さに速人は目を細めて苦言する。
汗と女性……その組み合わせで考えられるのはひとつだ。
「お前らなぁ……ちょっとは体裁を気をつけたらどうだ?」
「別に…いいじゃん…はぁ……幼馴染なんだし———疲れたし……」
「それでいいのか……?」
困惑を隠しきれない速人。この際はっきり言うと、可可とかのんのスポーツ服が濡れ透けて下着がそのまんま浮き出ていると言う話だ。
ここでふと千砂都が速人に尋ねてくる。
「あれそういえば那由多くんは?」
「あぁ…アイツは———腹減ったからって冷蔵庫を漁りに…」
すると……
「なるほど、だからアイツだけが上の階に上がってきたわけか——」
「「「師匠(才さん)!」」」
やってきたのはこのゲームセンターの創造主たる俺 伊口才。俺が現れたと聞くや否や、可可は今までへばっていたのは何処へやら、俺の元へと即行で尋ねてくる。
「才サン!」
「?」
「こ、このゲームは一体どうやって手に入れたのデスか!?」
「あぁ……あれはな————企業秘密だ。」
「ソ、ソコをナントカ…!」
「無理言っちゃいけないよ可可ちゃん。」
「うぅ…!」
勢いで迫る可可をたしなめるかのん。抑止される可可だが、とは言っても諦めきれない気持ちがその大半を占める。
俺は顎を手で押さえて、考えているそぶりを見せる。
「そうだな……ラブライブの全国大会でそれなりの結果を残したら、教えてやるよ。」
「ホ、ホントデスか!?」
「あぁ。ま、残せたら……の話だがな。」
「よーし!絶対に優勝してやるデス!頑張りましょうカノンさん!!」
「あ、うん……」
何かスイッチが入ったように躍る可可の問いかけにかのんは自信の薄い返事を返す。その弱々しい顔を横目で確認した俺は話を変えるようにかのんに問いかける。
「曲は…どうなってるんだ?」
「へ?」
「作曲はともかく、本格的な作詞はやったことないだろう?」
「それは…まぁ、はい。」
「じゃあ……然るべき人物に任せると良い。なぁ?『速人』?」
「げっ…!」
目線をあえて送らない……逆にそれが速人を名指ししている雰囲気を醸し出す。
速人はちょっと嫌そうな顔で2歩下がる。そこで千砂都が思い出したように口を出す。
「あっ、確か速人くん夏休みの課題でポエム書いたらいっつも特選だったよね。」
「そうか…人の心を読めるから————速人くん!!」グイッ
「ハヤトさん!!」グイグイ
「わかったわかった!!わかったから一旦離れろ!!(近いって……!)」
可可とかのん……美少女2人に迫られるオッドアイの美男子 速人。顔を赤面させて2人を遠ざけようとする。
しかし、可可は言質を取ったかのように速人に迫り尋ねる。
「じゃあ引き受けてくれるのデスカ!」
「う、あぁ。しゃーねぇ。」
「「やったぁ!!」」
ハイタッチする「かのクゥ」。その屈託のない純粋な笑顔には、思わず父性のようなそれが湧いてくるような気もしなくはない。
しかし速人の顔はどうも煮え切らない。側で傍観していた俺は速人の横まで近寄り、耳元で囁く。
「ペンは剣よりも強し……やがてそれがお前をさらに強くするだろう。」
「師匠……」
俺は振り返って、喜んでいるかのんたちに提案する。
「さ、今日はいろいろあって料理を作りすぎたんだ……よかったら食っていかないか?」
「「「ほ、本当ですか(デスカ)!!」」」
「あぁ。料理には自信……あるんだ。遠慮せず食ってやってくれ。あ、でも早くしないと那由多が……」
「「「急げー!!!!」」」
かのんたちは急いでエレベーターへと駆け込む。そんな中……速人は少し疑念を抱く。
「(…食って「やって」くれ……?)」
————※————
パラパラパラ……
「諦めないキモチ……輝く……星…明星……」
自室で言葉を羅列する速人。言葉の出自は———ある一冊の大学ノート。
「可可の言った通り一部は中国語か……だけど。」
翻訳というのは実は非常に難しいコトなのだ。言語によって1つの単語に様々な意味が込められる時がある。その真髄は自国民……いや、彼らですらも真に理解はしていないのかもしれない。
その言葉のニュアンスを速人は恐れ……そして読み取ろうとしているのだ。
「そういえば———かのんの父さんなら中国語の詳しい辞書を持ってるかもな……」
ガチャと自室を飛び出す速人。
彼は信念を持っている。かのんなら……彼女たちなら必ずスーパースターになれる。そう信じている。盲信している。
そのためならば……彼は。
————※————
【じゃあ、そっちはうまくいったんだな?】
「あぁ。じゃあ今度は———頼むぞ?」
【了解。】
プツリと切れる電話。まだ4月であるのに少し少し汗ばむほどの陽気……俺もブレザーなど羽織ってはいられず、薄青いワイシャツ姿になる。
そして今、俺は……とある温泉地に構えられた豪邸に来ている。
「はぁ……嫌だ———でも仕方ねぇか…」
ノック抜きでその邸宅の玄関をくぐる俺。そのまま階段を登り、ガラス張りオーシャンビューのスペースへと到達する。
「アイツらは……」
俺は黒いソファに座り込む————と。
バシャ!
ピト…ピト……
奥のガラスが湯けむりに曇る。その中から滴る湯水と共に現れる————絶対なる美女 ハイパーロード/Aqours。
ダイヤモンド色の長髪をポニテで結び、その紫色の瞳で俺を見つめる。
『まさか貴方から来るなんて、珍しい♪』
「あぁ。俺も絶対行きたくないって思ってたんだが……事情が変わった。セフィオスとグリフォスは?」
『あっちの部屋で寝てるよ。』
「——————そうか。」
『どうしたの?そんなに困惑して?』ニコニコ
「お前……服を着ろ。服を。」
そう、彼女は今とんでもないダイナマイトボディを風呂に入ったまま俺に見せつけている状態。
普通の女ならば見過ごしても良いが、コイツには別の意図がある気がして気分が悪い。
しかし———彼女は恥ずかしむ様子もなく…むしろ見せびらかすように話を続ける。
『私は構わないし……好きな時にシていいんだよ?』
「ふざけんな。外見のみピチピチの超若作りBBAの体に欲情するほど俺も…堕ちてはいない———」
『ふーん……ま、いいよ。いずれこの私に魅了されるのはわかってるんだから♡』
「てかそんなことはどうでもいいんだ……単刀直入に言う。アレの出番だ。」
アレの出番……それが何を意味するか、彼女はその『全てを見通す目』で理解しているはずだ。しかし彼女は不満げな顔をする。
『私を老いぼれ扱いした上に言うことも聞いてくれないで、そんな頼み事なんて…なんてワガママな人。』
「これはアイツらのためだ。」
『前にも言ったはずだよ?私はあの子たちが力を手に入れることは反対……大きな力は自由を与えて、人を路頭に迷わせ、争いへと身を投じちゃうからね。』
エコーがかった甘い声が俺に牙を向く。確かに彼女の言っていることは一理ある。いや、それこそ真理なのだ。
だが———それでも、時は進むべきなのだ。
「その通り。それが俺とお前が造った世界……いずれ滅亡は訪れる。そこからどう立ち上がるか…それをアイツらが導くためにも新たな力は必要なんだよ———!」
真剣な眼差しで彼女の目を見る俺……その凛々しさから彼女の目にハートが浮かぶ。
『ほ、本当に仕方のない人だなぁ…そんな目で見られたら断れないじゃん♡』
「じゃあ————」
『はい。お目当てのモノ。』
そうして彼女が差し出したのは……透き通るように青い色のでかいワンダーライドブック。
「赤はお前が…まぁいい。じゃ、これで俺は
『ちょっと待ちなよ。』
「あ?」
『こんなグラマラスな美女が裸でいるのに…ちょっとつれないんじゃない?』
「……何が言いたい?」
『私がゲームで勝ったら……責任、取ってね?』
「何が責任だよバーカ。結局コレかよ……だが、今回もすぐに終わらせてやるさ。』
未だいい歳した女が対面で全裸なのが気になって仕方ないが暇を持て余した神々のゲーム……始めようか。
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