星河の覇皇
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第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその四
「しかしです」
「ムハンマドは諦めませんでした」
「今の我々以上の苦境でも」
「それでもです」
「ムハンマドは戦いました」
「むしろ苦しければ苦しい程奮い立ちました」
「そしてメッカに戻りました」
ヒジュラの時にメディナに逃れてもだ、それが出来たのだ。
「ですから」
「我々もです」
「戦いましょう」
「そして勝ちましょう」
「ムハンマドの様に」
「そうしていきましょう」
「ムハンマドだけではないですし」
フラームはまた話した。
「コーランに出て来る者は」
「誰もがそうですからね」
「苦難に挫けない」
「むしろ意気を上げています」
コーランの特徴の一つだ、とかく出て来る者は苦難にめげず勇敢に立ち向かう。そして求めるものを得てハッピーエンドとなるのだ。
「それならば」
「我々が何故怯むか」
「そうなるのか」
「それではコーランを読む意味がありません」
「ムスリムではありません」
「まだ戦えるのです」
「それで諦める道理はありません」
こう言うのだった、そしてだった。
今度は具体的な話に入った、フラームの後ろにある三次元モニターに防衛ラインの宙図が出るとすぐにだった。
機雷原やコロニーレーザー、防衛衛星等の配置も出された。当然ながら艦隊のそれもだ。
その配置を見てだった、軍団司令達はまた話した。
「これが理想ですね」
「今の我々の」
「この配置を目指しましょう」
「何とか」
「特に今回は機雷原が多いです」
「いい具合に配されています」
その宙図ではというのだ。
「これなら守れます」
「何とかにしても」
「オムダーマン軍も迂闊に攻められません」
「彼等も動きを制限されます」
「ならです」
それならというのだ。
「我々はそれを衝けます」
「機雷原は敵も確認しますが」
「それでもです」
「そこを通ることは出来ません」
「誰も目に見えている危険は通りません」
「ならです」
「機雷原で敵軍の動きを制限し」
そのうえでというのだ。
「守っていきましょう」
「コロニーレーザーや防衛衛星もありますし」
「軍事基地化している惑星もあります」
その防衛ラインにはというのだ。
「物資の蓄積も進んでいます」
「ならです」
「それではですね」
「今は」
「それなら」
「兄上はあと数日で起き上がられるでしょう」
またフラームが言ってきた。
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