星河の覇皇
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第八十二部第五章 撤退する者達の焦りその二
「今は堪えましょう」
「新たな防衛ラインを敷いて」
「そしてそのうえで、ですね」
「何とか守り抜くことですね」
「主席が戻られゥまで」
「主席が戻られれば」
その時はとだ、フラームはまた述べた。
「劣勢を覆すことが出来ます」
「左様ですね」
「劣勢の状況も」
「それもですね」
「何とか戻って」
「そしてですね」
「あの方が戻られた時は」
軍団司令達も口々に言った、その口調には勇気が戻ってきていた、シャイターンの存在自体が実に大きいかだった。
それでだ、彼等はまた言うのだった。
「ならばですね」
「これまで以上に軍の速度を速めて」
「そしてですね」
「そのうえで防衛ラインの施設予定ラインまで入り」
「そしてそのうえで」
「後は、ですね」
「機雷を撒いて」
まずはこの兵器だった、そして他の兵器の話もするのだった。
「コロニーレーザーや防衛用の惑星を配置して」
「アステロイド帯や磁気嵐も利用して布陣しましょう」
「そうして守りましょう」
「確かに軍の数は減りました」
防衛ラインを徹底的に突破されてその際の多くの戦力を失ったのだ、そして予備戦力もティムールは動員可能な戦力を限界まで収集をかけていたのでそれもないのだ。だから戦力も少なくなっているのだ。
「しかしです」
「それでもです」
「あの方が戻られるなら」
「まだ戦力はありますし」
「暫くの間凌げば」
「その後は」
数日、彼等はこう考えていた。
「インフルエンザならです」
「あの病気は確かに死ぬ場合もあります」
「その場合もありますが」
「お命に別条がない程度なら」
「今は意識がないとのことですが」
過労が大きかった、尚このことを知っているのはフラームとアブー以外はティムール軍でも軍団司令階級で言えば大将以上の立場の者達だけだ。
それでだ、彼等も今会議の場で言うのだ。
「しかしですね」
「点滴を受けておられますし」
「それなら大丈夫です」
「必ず戦場に戻られます」
「そしてそのうえで、ですね」
「我等を指揮されます」
「やはりアッディーン大統領は強いです」
敵である彼のことも話された。
「文句なしに」
「このことはその通りです」
「名将と言われていますが」
「采配が違いますね」
「私達兄弟でもです」
フラームもこう言うしかなかった。
「アッディーン大統領には敵いません、あの方に対抗するには数があれば」
「数ですか」
「それがあればですか」
「そう言われますか」
「三倍の数があれば」
装備はここでは互角と誰もが考えていたので言わなかった。
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