レーヴァティン
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第二百七十話 禍々しさを知りその十
「調べるとね」
「知能はかなり高いがな」
「神だけあってね」
「術も使えてな」
「それはかなりよ」
「それでもな」
クトゥルフという神はとだ、久志は語った。
「極めて本能的だからな」
「そして悪意に満ちている」
正はこのことを話した。
「尚且つな」
「そんな相手だとな」
「会話は無理だ」
「人間でも会話出来ない奴いるしな」
「狂気や悪意に満ちている奴とはな」
「私利私欲塗れだったりな」
こうした連中とは会話が成り立たない、既に常軌を逸しているからだ。話せばわかるというのはまともな相手とだけなのだ。
「それでな」
「会話が成り立たないからな」
「それは神様でもだな」
「あの神話の神々はどれも同じだ」
「本能的で悪意に満ちていてな」
「モンスターと話す方がだ」
それこそというのだ。
「まだだ」
「会話が成り立つだろうな」
「モンスターは時として仲間になる」
「獣もな」
「そうなる、しかしだ」
「あの神話の神々はな」
「頭の中にあるのは原始的な悪意のみでな」
それでというのだ。
「破壊しかだ」
「考えていないな」
「しかもその破壊はだ」
正はクトゥルフ神話の神々が本能的に悪意に満ちて求めているそれについても話した、アイスバインを食べつつその声は真剣なものだった。
「秩序の中にはない」
「混沌の中にあるな」
「あの神々は秩序の中にいない」
「混沌の中にあるな」
「案外そうした存在は珍しい」
正はさらに言った。
「混沌それも原始的で本能的でだ」
「悪意に満ちたのはな」
「神の敵はいる」
そう呼ばれる存在はというのだ。
「別の神だ」
「それな、悪魔は何かっていうとな」
「神に歯向かう存在だ」
それが悪魔だというのだ。
「神は絶対の正義でだ」
「その神に逆らうから悪だな」
「神が絶対の正義という定義がないとだ」
「悪魔は悪にならないな」
「正義は一つでだ」
それでというのだ。
「神こそがだ」
「絶対の正義だな」
「キリスト教等の一神教の特徴の一つだが」
「ゾロアスター教もですね」
今度は順一が語った、司祭というまさに神に仕える立場である彼が。
「光の神アフラ=マツダが絶対の正義であり」
「闇の神アンラ=マンユが絶対の悪だな」
「そう定義されています」
「それを疑うことはないな」
「ゾロアスター教では」
「それでキリスト教とかでもな」
「神が正義であるか疑うことは」
このことはというのだ。
「もうです」
「ないな」
「正義は一つであり」
「その正義が神でな」
「その神に逆らうなら」
「悪魔でな」
「悪です、ですが悪魔が果たして悪か」
順一は真剣な顔で述べた。
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