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レーヴァティン

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第二百六十九話 混沌と悪意の神その六

「俺達もだな」
「そうだ、ここはな」
「是非にだよな」
「国全体でだ」
「クトゥルフに向かう様にするな」
「それがいいと思うが」
「その通りだな、俺達だけでも足りなくてな」
 そしてと言うのだった。
「軍勢だけでも足りないならな」
「民達にもだ」
「力を貸してもらう」
「そうすることだ、総動員と言うが」 
 英雄はこの言葉も出した、言いつつ二度の世界大戦の文字通りの総動員での戦争のことも思い出した。
「勝利の為にはな」
「必要だよ」
「そうだ、神に勝とうと思えばだ」
「そこまでしないと勝てないな」
「それでも勝てないかも知れない」
「それが神だな」
「だから人間としてはな」
 即ち自分達はというのだ。
「弱い俺達はだ」
「使えるものは全部使って」
「採れる手段も全て採る」
「そうして戦うべきだな」
「そう思うがな」
「その通りだな、バベルの塔を築く力があっても」 
 久志は聖書の有名な話をした、その塔で神のいる場所に行こうとしたが神の怒りで破壊されてしまった話を。
「神様には何でもなかったしな」
「塔を築く力以外にもな」
「全ての力を使うか」
「その様にしないとだ」
「神には勝てないな」
「そう思うことだ、クトゥルフはだ」 
 あらためてこの神の話をした。
「その姿を見ればだ」
「それだけで気が狂うな」
「人はな」
「そこまで恐ろしい姿でな」
「力を持っているとだ」 
 その様にというのだ。
「言われているな」
「そうだよな」
「それだけの力の持ち主に勝つ」
「そうしたいなら」
「まさにだ」
「出来ることは全部する」
「そうすることだ」
 こう久志に話した。
「さもないとだ」
「勝てないな」
「そういうことだ、いいな」
「ああ、そうだな」
 久志もその通りだと応えた。
「お前の言う通りだ」
「ではだ」
「あっちの世界じゃな」
「そうしていくぞ」
「ああ、それでな」
「今度はどうした」
「いや。食いものもな」 
 久志はこちらの話もした。
「クトゥルフとの戦の時はな」
「持って行かないと駄目だな」
「それは考えているよな」
「当然だ」
 一も二もない返事だった。
「腹が減ってはだ」
「戦は出来ねえ」
「だからな」
 それ故にというのだ。 
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