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マンゴー盗み

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第二章

「そしてだ」
「マンゴーの実達を持って去りますね」
「そうしよう、しかし」
「しかし?」
「最近私達の家族は起きるのが遅かったか」
 ご主人は眉を顰めさせてこうも言うのでした。
「それで日の出がこんなに早くなっているとは気付かなかった」
「真面目な人は日の出と共に起きるといいますしね」
「そのことはあらためないとな」
「ではこれからは」
「早起きをしよう」
 こう言うのでした、そしてです。
 王様と司祭さんを見ているとです、王様はマンゴーの木陰にもうけた席に座って司祭の人はその下に畏まってです。
 王様に経典のお話をしています、ご主人はそれを見てまた眉を顰めさせました。
「これはよくない」
「どうしましたか?」
「私もマンゴーを盗みに来たから偉そうには言えないが」
 お猿にく言うのでした、木の上に隠れたうえで。
「王様は道理がわかっておられない」
「といいますと」
「教わるのなら上座にいてはならない」
「学ぶ者の場所にいてですね」
「それで畏まって学ぶべきだ」
「今の様にしてはならないですね」
「王様といえどもな、これは言わせて頂こう」
「ですがご主人」
 お猿はご主人の言葉に止めるお顔で言いました。
「そうしますと」
「私が王宮に忍び込んでマンゴーを盗んだことがばれるな」
「そうなりますが」
「だが街を治める王様が道理を弁えないならだ」
 ご主人はお猿に今は真面目な顔で言いました。
「街は確かに治まらない」
「だからですか」
「王宮に忍び込みマンゴーを盗んだ咎は受ける」
「死刑になるかも知れないですよ」
「私が死刑になっても街が治まるならいい」 
 それならというのです。
「だからな」
「ここはですか」
「王様に諫言させて頂こう」
 こう言ってでした。
 ご主人はお猿と共に木から下りてです。
 王様の前に平伏し盗んだマンゴーを全て差し出してからです。
 まずは自分のことをお話しました、お猿もご主人の傍で平伏しています。
 そうしてです、王様に言うのでした。
「王様は司祭様を心から敬っている様には見えないです」
「いや、私の師としてだ」
 王様はご主人の言葉に驚いて反論しました。
「敬いだ」
「教えを請われていますか」
「それでいつも教えてもらってだ」
 そうしてというのです。
「礼を尽くしている」
「そう言われますが」
「違うのか」
「はい、上座に座られていますね」
「王だからな」
 王様はそれ故にと答えました。
「そうしているが」
「王でも道理がありますね」
「その通りだ」
「なら上座から教えを請うてはいけません」
「王でもか」
「王といえど人であられ」 
 それでというのだ。
「人の礼儀は弁えないといけません」
「そういえば」
 王様も言われて気付きました。
「そうだな」
「人の礼儀を弁えずしてどうして聖典の心を知れましょうか」
「そ、そうだ」
 ご主人に言われてです。
 王様は目が醒めた様になりました、そうして言うのでした。 
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