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ブラックベリー

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第二章

 この時から遠乗りの時はこの教会に寄ってオールウェンの差し出すミルクを楽しんだ、それと共にだった。
 二人は絆を深めていった、だが。
 ガーサはここで妹に話した。
「色々あると言ったけれど」
「それがこれから起こるのね」
「貴女これから毒蛇に噛まれるわよ」
「占いではそう出ているの」
「それを避ける為によ」
 まさにその為にというのだ。
「私が今からブラックベリーの木に変えるわ」
「ブラックベリーに」
「木になれば蛇も噛まないでしょ」
「そうね、蛇は木を食べることも恐れることもないから」
「だからね」
「それでなの」
「ブラックベリーに変えるけれど」
 ガーサはこうも言った。
「占いでそれに変えたらいいって言われたのよ」
「それでなのね」
「だからいいわね」
「ええ、お願いするわ」
 オールウェンも頷いてだった。
 そうしてだ、そのうえでたった。
 姉にブラックベリーに変えてもらった、だが。
 その時に王子が来た、これに姉は慌てた。
「色々あると占いに出たけれど」
「あの、姉さんこれって」
 ブラックベリーの木になった妹も言った。
「かなりね」
「まずいわね」
「ええ、どうしようかしら」
「蛇からは逃れられたけれど」
「折角王子が来られたのに」
「その魔法は三日解けないのよ」
「三日なの」
 姉のその言葉に仰天した、それで思わず木が揺れた。
「それは困るわ」
「私も困ってるわ」
 魔法をかけた姉もだった。
「どうしたものか」
「あの、じゃあ今回は」
「事情を話そうかしら」
「そうすべきかしら」
「ええ、私からね。流石にいきなり木が話すとね」
 そうなればとだ、姉は妹に話した。
「大騒ぎになるから」
「だからよね」
「そう、まずは私が王子にお話して」 
 そしてというのだ。
「それからね」
「私がお話するのね」
「そうしなさい」
「わかったわ」
 妹は言葉で頷いた、そうしてだった。
 まずはガーサが皇子を迎えて事情を話してだった。
 そのうえでオールウェンが変身しているブラックベリーのところに案内した、その木を見てだった。
 王子は木に笑顔で語りかけた。
「木になっても君は君だよ」
「だからですか」
「うん、今回はその姿でね」
「ご一緒していいのですね」
「そうしてくれるかな」
「有り難うございます」
 妹は今の自分を受け入れてくれた王子に喜びの声で応えた、そうしてだった。
 二人の時間を過ごした、その後で姉は妹に話した。
「素晴らしい方ね、あの方と一緒になれるなら」
「私は幸せになれるわね」
「必ずね、ただ宮廷魔術師の主人が言ってるけれど」
 姉はここでこう言った。
「どうも宮廷内で色々あってね」
「それが王子様に関わるのね」
「あの方は今は兄上の国王を助けておられるわね」
「そうされているわ」
「けれどそれに反対する公爵さんがいて」
「まさか」
「そうよ、公爵さんは自分の政策に反対する皇子を疎ましく思われているから」
 だからだというのだ。 
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