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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十話 牙刀、しがらみを断ち切るのことその八

 牙刀はだ。こう男に告げたのである。
「しかしだ」
「しかし。何だ」
「貴様は狼ではない」
 そうではないというだ。自分自身の父に対してだ。
「只の修羅だ」
「修羅だというのか」
「狼は違う」
 その狼を見たからこそ言える言葉だった。
「それを言っておこう」
「狼ではないというのか」
「そうだ。修羅だ」
「そして修羅は人には勝てないわ」
 ほたるも言うのだった。自分の父に対して。
「だから私達は今から」
「貴様を倒す」
「来い」 
 牙刀と同じ構えだった。しかしだった。
 気が違った。黒い、ただひたすら黒い気を纏いだ。彼は二人に向かって来た。
 それを受けてだ。二人もだった。
 顔を見合わせてだ。こう言い合った。
「ではだ」
「ええ、兄さん」
「真の狼の戦いをだ」
「今からするのね」
 こう言い合いだ。兄妹は。
 父に向かう。そうしてだった。
 二対一での戦いがはじまった。その中でだ。
 互いに拳や蹴りを繰り出す。流石に彼の拳は速い。しかもだ。
 恐ろしいまでの威力があった。ほたるはその一撃を何とか防いだ。
 だがそれでだ。大きく吹き飛ばされてだ。
 空中で何とか体勢を立て直し着地する。その彼女にだ。
 牙刀がだ。こう言ったのである。
「よく防いだな」
「何とかだけれど」
「いや、今の御前なら確実に防げた」
 そうしたものだったというのだ。今のは。
「それはわかる」
「兄さん、じゃあ私達は」
「所詮闇討ちだけの者だ」
 こうだ。牙刀はその父を見て述べた。
「正面からではどうということはない」
「言ってくれるな」
「では俺の目を潰した時はどうだった」
 牙刀はこのことから話すのだった。
「そしてタクマ=サカザキの時はどうだったか」
「では我の実力はか」
「今の俺達の相手ではない」
 こう看破してみせたのである。
「だからだ。貴様はここで倒せる」
「確かに。父さんの動きが何か」
 その掌底を受け止めつつ言うほたるだった。
「見えてきたわ」
「そうだな。見えてきたな」
「これなら。本当に」
「勝てる」
 断言する牙刀だった。そうしてだ。 
 その技を繰り出す。
 膝蹴りからだ。飛び上がり蹴りを連打する。牙刀はそれを出してだ。
 続いてだ。そこから着地しようとする父にだ。滑り込み蹴りを放つ。これでだ。
 父の体勢が完全に崩れた。それを見てだ。
 今度はほたるが仕掛ける。彼女の技は。
 背を向けつつ手刀を出してだ。そうして。
 一旦空中に跳びそこから斜め下に急降下し連続して蹴りを繰り出す。兄妹の連続攻撃を受けてだ。
 父の身体がふらつく。兄妹はその隙を見逃さなかった。
 牙刀がだ。ほたるに対して言う。
「今だ」
「ええ、兄さん」
 ほたるも兄の言葉に頷く。そうしてだった。
 まずはほたるがだ。前方に宙返りしつつ。
 蹴りを繰り出し急降下してから膝蹴りを叩き込む。そこから馬乗りになり一気に気を注ぎ込む。
 
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