イベリス
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第七十六話 狭いが多彩な街その二
「何がどうなるか」
「自分の心がさもしくなるだけよね」
「そうよ」
その通りだとだ、愛は答えた。
「だからね」
「嫉妬なんてするものじゃないわね」
「嫉妬する位なら努力しろ」
愛はこうも言った。
「自分がね」
「勉強鳴りスポーツなりに」
「そうしたら嫉妬なんてしないわよ」
努力すればというのだ。
「そっちに神経が集中してね」
「嫉妬っていうのは努力しない人が持つものなの」
「そうとは限らないけれどね」
「努力してても持つの」
「手塚治虫さんあれだけお仕事して忙しくて実績があったけれど」
若くしてそうなった、それだけの才能があり努力もしてきたのだ。
「けれど他の人気ある漫画家さんによ」
「嫉妬していたの」
「もう滅茶苦茶嫉妬して」
そうしてというのだ。
「おかしくなったんじゃないかっていう位だったそうよ」
「あんな人でも嫉妬するの」
「手塚さんって一日四時間位しか寝てなくて」
そして始終漫画を描いていたという、アニメの仕事もしていた。
「徹夜もざらだったのよ」
「それで過労死したとも言われてるのよね」
「そうよ」
「しかも無茶苦茶売れてお金も名声もあったのよね」
「どちらもね」
「何でそれで嫉妬するのよ」
「それでもよ」
愛はこう話した。
「あの人は嫉妬したのよ」
「わからないけれど」
「多分だけれど」
愛はいぶかしむ咲に話した。
「自分はまだまだってね」
「そう思っていたの?」
「それで自分より凄い人が出たって」
その様にというのだ。
「思ってね」
「嫉妬してたの」
「この作品は面白いって」
「それでなの」
「それで巨人の星とか人気出たら」
社会現象にさえなったこの作品がというのだ。
「何が面白いのかって必死に考えたりね」
「されていたのね」
「他にはドカベンとか描いていた」
「水島新司先生ね」
「あの人に直接言ったりね」
こうした逸話も残っているのだ。
「ゲゲゲの鬼太郎によ、おかしくなったのかていう位嫉妬したの」
「あの漫画に?」
「それでどろろ描いたらしいし」
「あれアニメにもなってるけれど」
「あの作品をどうして描かれたか」
その理由はというのだ。
「そうした経緯があったのよ」
「そうだったのね」
「兎に角あれだけ実績があって」
「不眠不休だったのに」
「実績を何とも思わないで」
それでというのだ。
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