新居に戻ってきた
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第二章
夫婦は遂にと確信してだった、そのうえで。
夫婦はその猫を動物病院に連れて行ってマイクロチップも確認したが。
「いや、本当にね」
「オリバーだったなんてね」
「思わなかったよ」
「ええ、本当にオリバーね」
「引っ越しの日にいなくなって」
「ずっと探してもいなかったのに」
「こうして新居に来るなんて」
夫は驚きを隠せない顔で話した。
「二ヶ月経ってな」
「こんなこともあるのね」
「そうだな、じゃあマックスが帰ってきたら」
九歳になる息子がというのだ。
「オリバーをね」
「見せてあげましょう」
「そうしような」
夫婦で笑顔で話してだった。
そのうえで学校から帰ってきた両親譲りの髪と目の色の息子にオリバーを見せるとだった。息子も驚いてオリバーを見て言った。
「嘘じゃないよね」
「ああ、本当にオリバーだ」
「渾名にも応えたしマイクロチップもね」
「うちに来てくれたんだ」
「二ヶ月経ってね」
「嘘みたいだよ、オリバーよく来てくれたね」
「ニャア」
オリバーは鳴いて応えた、息子はその彼を見て話した。
「これからまた一緒だよ」
「保護猫を迎えて来てくれたが」
「一度いなくなって」
「それで来てくれるなんてな」
「嘘みたいなお話ね」
「奇跡だよ、神様がくれた」
息子は笑顔でこうも言った。
「だからオリバーは戻ってきてくれたんだ」
「そうだな」
「本当にそうね」
「ルチアも嬉しいよね」
マックスは揺り籠の中にいる生まれたばかりの妹にも声をかけた。見れば幼い目は見事な黒である。
「オリバーが戻ってくれて」
「ははは、ルチアはまだわからないさ」
「赤ちゃんだけれどね」
「けれどこれで家族はまた一緒だ」
「オリバーが戻ってきてくれたからね」
一家で笑顔で話した、そして皆でオリバーを撫でた。戻って来た猫は早速新居に馴染んで幸せそうだった。
新居に戻ってきた 完
2022・11・28
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