いい大学を出ても
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第二章
「公務員でそれでもなのね」
「どんな大学出て安定したお仕事でもよ」
「味噌汁茶碗に痰吐く様な人とは」
「ええ、一緒にいるなんて絶対に無理よ」
こう言ってだった。
未来はこの縁談を断った、そうして他の人とお見合いをしてその人は普通の私立大学を出ていたがまともな人だったので。
その人と結婚して普通の家庭を築いて暮らしたが結婚して二年位経って叔母が彼女に法事の時に話した。
「あの国立大出た」
「味噌汁茶碗に痰吐いた人ね」
「あの人どうにもならない人みたいよ」
「ああ、やっぱり」
未来はそれはと納得した。
「そうだったのね」
「お仕事全然出来なくて」
その仕事ぶりから話した。
「何をするにも出て来るのは一番最後で」
「そんなので」
「他の人が必死に働いていてもぼーーーっとした顔で上向いてるだけで」
「全然駄目そうね」
「それでやっと動いたら他の人がもうしてる簡単な仕事して」
そうしてというのだ。
「動きは鈍重で」
「本当に仕事出来ないのね」
「ええ、誰でも出来るお仕事をずっと出来なくてね」
そんな風でというのだ。
「食べるだけで優しくしても」
「そうしてもなの」
「つけ上がる、お膳を親切で持っていったら」
「どうせ次は無言で差し出すんでしょ」
「そう、優しくしたらつけ上がるタイプで」
それでというのだ。
「お礼も言わないね」
「そんな人なのね」
「市役所にいてもそこでもね」
「厄介者ね」
「そう思われていることにも気付かない」
そうしたというのだ。
「どうにもならない人みたいよ」
「何もしないし出来なくて」
「品性もないね」
「やっぱりそんな人なのね」
「あんた以外にも沢山の人とお見合いしてるけれど」
それでもというのだ。
「全部断られてるそうよ」
「当然よ、いい大学出ていてもね」
それでもとだ、未来はその人のことを思い出し顔を顰めさせて話した。
「あれじゃあね」
「どうしようもないわね」
「ええ、人間として駄目過ぎたらね」
それならと言ってだった。
未来は自分がその人との縁を切ったことをいいことだと思った、そのうえで夫のところに行った。その人より遥かにまともな彼のところに。
いい大学を出ても 完
2022・11・26
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