傘を集めることが趣味で
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第一章
傘を集めることが趣味で
鶴右京はお好み焼き屋の娘で中学に通う傍ら家の仕事を手伝っている、店は美味いと評判で客が絶えない。
店は祖母の里実が主に行っている、里実は焼くだけでなく味付け特にソースを作ることが絶品でウ今日も学んでいる。右京は腰までの量の多い黒髪をその先で束ね大きな明るい目と小さな頭と唇に大きな耳を持ち一六〇近い背で中学生らしからぬボディを持っている。
祖母はその彼女がそのまま歳を取った様な外見でいつも仕事に励んでいるが一つの趣味をずっと満喫していた、その趣味はというと。
「お祖母ちゃんまたなの」
「ええ、また買ったのよ」
里実は家で新品の傘を見ながら孫娘に応えた。
「いいのを見付けたからね」
「あの、今年に入って」
「十本目ね、これでコレクションは三百本よ」
「傘そんなに必要?」
右京はどうかという顔になって言った。
「三百も」
「好きだから集めてるのよ」
祖母は孫娘に笑って話した。
「祖母ちゃんはね」
「そうなの」
「だからね」
それでというのだ。
「こうして買ってね」
「集めてるのね」
「そして大切にしてるのよ」
そうだというのだ。
「いつもね」
「そうなのね」
「子供の頃あんたのひいお祖母ちゃんが買ってくれた傘が奇麗で」
「それからなの」
「いい傘はね」
「買ってなの」
「集めて大事にしてるんだよ」
「使って」
傘をとだ、右京は言った。
「そうしてなのね」
「外出の時はいつも持ってるだろ」
「ええ、晴れでもね」
「そうしたら手が寂しくないし」
傘を持っていると、というのだ。
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