歳の差婚も平気
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第一章
歳の差婚も平気
豆田孝介は結婚することになった、一七六程の背でやや吊り目で目尻に皺がある、ホームベースを少し細長くした感じの顔でだ。
口は小さく黒髪は真ん中で分けている、腹はそろそろ出てきている感じだが身体全体では痩せている。
その彼がだ、職場で言っていた。
「俺も四十一で遂にだよ」
「結婚されてですね」
「家庭を持たれますね」
「そうされますね」
「それで相手の娘は二十四歳」
その年齢も話した。
「いいよな」
「えっ、二十四歳って」
「十七歳年下ですか」
「課長の奥さんになる人って」
「そうなんですか」
「そうなんだよ、親にお見合い受けさせられたら」
その時にというのだ。
「その娘で話をしているうちに気が合って」
「それで、ですか」
「十七歳の歳の差を超えて」
「ゴールインですか」
「そうなんだよ」
これがというのだ。
「俺も嬉しいよ」
「凄い話ですね」
「十七歳って下手したら親子ですよ」
「世代違いますよ」
「会話とかも合うんですね」
「俺も流行に敏感だしな」
豆田のこのことは昔からのことである。
「それで若い女の子と話も合うし」
「それでいてレトロも詳しいですし」
「課長色々もの知りですしね」
「そのこともあってですか」
「相手の娘も惚れ込んでくれてね」
そしてというのだ。
「結婚になったんだよ」
「それはいいが」
部長で上司である有島尚哉が言って来た、小柄でバーコード頭に丸眼鏡という外見の初老の男である。
「世代の違いはな」
「ありますか」
「何かとな。気をつけていくんだ」
このことはというのだ。
「いいな」
「はい、会話が合っても」
「そうだ、そこはな」
「そこはどうすればいいでしょうか」
「やっぱり体力だな」
これだというのだ。
「人間最後はな」
「何といってもですか」
「体力だからな」
それでというのだ。
「君はジム通いもしているな」
「はい、健康の為に」
「それを続けて食生活もな」
「しっかりしてですか」
「健康でいるんだ、そうしたら世代が違ってな」
結婚してというのだ。
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