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コンビニのトイレにあったもの

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第一章

                コンビニのトイレにあったもの
 林原恵美子は大学に通いつつ家の近所のコンビニでアルバイトをしている、ふっくらとした頬に丸い目と愛嬌のある唇がトレードマークだ、背は一五五程で均整の取れた身体つきで黒髪を長く伸ばしウエーブをかけている。
 学業もアルバイトも真面目にしていてだった。
 この日は深夜のシフトに入っていた、そこで店長の深田茂雄三十代で太い眉で細面にきりっとした目と唇を持つ一七二センチ程の背で黒髪をスポーツ刈りにしていて顔の剃り跡が青々としている彼に対して言った。
「店長さん深夜は」
「うん、今日は特別にね」
「入られてるんですね」
「最近この辺り物騒だっていうから」
 それでというのだ。
「お店の防犯体制のチェックでね」
「来られてますか」
「普通はこの時間誰も来ないから」
 お客さんはというのだ。
「誰かに任せてるけれど」
「実際誰も来ないですしね」
「けれどね」
 それでもというのだ。
「ちょっと今日はね」
「防犯のチェックで」
「来ているんだ」
「そうなんですね」
「防犯カメラとか確認して」
 そうしてというのだ。
「ブザーも置いておくから」
「防犯ブザーですか」
「それと変な人が暴れたら」
 店長は恵美子にこの場合も話した。
「すぐに警察にね」
「通報ですね」
「警察にもそう言われてるしね」
「わかりました」
 恵美子は店長の言葉に頷いて応えた、そうしてだった。
 店長が防犯チェックをしている間に店番をして客がいないので店内の清掃もした。それでトイレもそうしたが。
 トイレ掃除の途中店長のところに来て蒼白の顔であるものを差し出して話した。
「あの、これ」
「注射器!?」
「おトイレに落ちてました」 
 その蒼白の顔で話した。
「この辺り最近治安が悪いっていうと」
「覚醒剤とか」
「そうでしょうか」
「おトイレ使った人いたかな」
「シフトに入ってすぐにお客さんが一人」
 恵美子は答えた。
「その人でしょうか」
「だろうね、すぐに警察に連絡しよう」
 店長も蒼白になった顔で話した。 
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