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イベリス

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第七十三話 何の価値もない思想家その十三

「だから実質好き嫌いなしだな」
「そうなるのね」
「何でも食べられることはいいことだ」
「逆に好きなものは」
 母が娘のそうしたものの話をしてきた。
「お刺身好きよね」
「かなりね」
「あとカレーも」
「大好きよ」
「スパゲティもで」
「お豆腐もね」 
 咲は笑ってこの食べものもと言うのだった。
「好きよ」
「そうよね」
「冷奴も湯豆腐もね」 
 どちらもというのだ。
「揚げだって好きだし」
「豆乳も飲むしね」
「お豆腐系好きよ、枝豆だって」 
 豆腐と同じ素材であるこちらもというのだ。
「好きだしね」
「好きなものは多いわね」
「大体海の幸は皆で好きで」 
 今度は自分から言った。
「お野菜をたっぷり使ったシチューやスープもね」
「サラダも好きね」
「かなりね、甘いものはケーキで」
 こちらも大好物である。
「果物だとネーブル、お野菜だけれど西瓜や苺」
「それにトマト好きね」
「お野菜だと一番ね」
「そこまで好きだといいな、これからも好き嫌いなくな」
 父は娘に飲みながら笑って話した。
「そうしてだ」
「食べていくといいのね」
「飲んでな、そうしたら楽しめるし」
 様々な飲みものそして食べものをだ。
「健康にもいいんだ」
「いいこと尽しね」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「これからもそうしていくんだぞ」
「そうするわね」
「じゃあ明日はトマト沢山使ったサラダにするわね」
 母が言ってきた。
「そうするわね」
「じゃあお願いね」
「トマトは身体に凄くいいから」
「ビタミンの塊なのよね」
「しかも血圧を下げてくれるのよ」
「高血圧にもいいのね」
「だからね」
 そうした食べものであるからだというのだ。
「沢山食べていいのよ」
「私トマト子供の頃から好きだけれど」
「いいことよ、トマトに林檎をよく食べたら」
 そうしたらというのだ。
「かなりいいわ」
「林檎も身体にいいから」
「あんた林檎も結構食べるわね」
「そっちも嫌いじゃないわ」
 咲は冷蔵庫から取り出した牛乳を飲みつつ応えた。
「スイーツにしてもね」
「アップルパイとかね」
「ケーキにしてもね」
 林檎のそれにというのだ。
「他のお菓子にしても」
「そうね、その林檎も食べたらね」
 トマトだけでなくというのだ。
「もっといいわよ」
「身体に」
「だからね」
 それでというのだ。 
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