ハッピークローバー
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第四十話 期末テストを前にしてその十五
「あの八条家のお医者さんの」
「止さん?」
「二年の義和さんのお父さんの」
「あの人有名よね」
美奈代も言った。
「お医者さんとしての腕が凄くても」
「それでも遊び人で」
「お酒に女の人でね」
「物凄い人よね」
「けれど遊びは弁えていて」
それでというのだ。
「ちゃんと家にお金入れてて」
「それで家事もするそうだから」
「あれこそ理想の遊び人よ」
「遊んでもやることはやる」
「遊びに溺れないでね」
そうしてというのだ。
「やることやる、家事だってね」
「そうあるべきなのね」
「いるじゃない、遊んでばかりで育児や家事は手抜きばかりで」
美奈代は顔を顰めさせて語った。
「殆ど親戚の人がいれば預けるか」
「いないとほったらかしね」
「そんな親がね」
「育児放棄ね」
「そんなことする人もいるけれど」
「これは論外ね」
「はっきり言って麻薬中毒と同じよ」
そうした場合はというのだ。
「これが悪いね」
「破目の外し方ね」
「そうよ」
まさにというのだ。
「本当にね」
「そうはならないことね」
「遊んで破目を外しても」
そうしてもというのだ。
「やることはやって溺れない」
「そうあるべきね」
「それで溺れたらね」
「育児放棄をする親ね」
「そうみたいになるのよ」
「そういうことね」
「育児放棄をする親にはなりたくないわ」
美奈代はここでは自分に言い聞かせた、富美子に語るのではなく他ならぬ自分自身に対してそうしたのだ。
「もうね」
「絶対によね」
「ええ、そうなったらね」
それこそというのだ。
「もうね」
「終わりね」
「人間として」
「そう、終わりだから」
それでというのだ。
「破目の外し方を覚えていて」
「それでなのね」
「溺れないでね」
「そうして遊ぶことね」
「そうよ、まああんた男の子と遊んだりは」
「しないわよ」
目をむっとさせて即答で答えた。
「絶対に」
「そうよね」
「だって相手の子いるし」
「越智君ね」
「彼ともそうしたことはね」
「しないの」
「そうしたことはまだまだ先で」
そう考えているというのだ。
「それでね」
「しないのね」
「ええ、妊娠とか性病は」
「そうしたことはない様になのね」
「するから」
それは絶対だというのだ。
「私だってね」
「そうなのね、まあその方がね」
「いい?」
「しないなら心配はないから」
妊娠や性病のそれはというのだ。
「それならね、ただするなら」
「だからしないのに」
「それでもする時はするものよ」
「そうなの」
「ええ、そう聞いてるから」
だからだというのだ。
「ゴム、コンドームはね」
「持っておくことなの」
「それは忘れないでね」
絶対にというのだ。
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