レーヴァティン
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第二百六十五話 西から去りその七
「そこからっちゃ」
「付け込んできてな」
「もう毎月来てっちゃ」
「図々しい振る舞いをしてな」
「迷惑になるっちゃ」
「そうなるな」
「だからこうしたお客さんはっちゃ」
「箒かぶぶつけだな」
「来るなと言えないならっちゃ」
何かしらの事情があってだ。
「そうするっちゃ」
「そういうことだな」
「もてなすにしてもですね」
謙二が言ってきた。
「人によりますね」
「まさにそうだな」
「いい人ならです」
「もてなしてな」
「心無い人はです」
「追い払うべきだ」
「はい、幾ら親戚でも友人でも」
そうした近い立場の相手であってもというのだ、世の中身近にいる者も善人であるとは限らないものだ。
「そうした人はです」
「もてなすべきでなくな」
「愛実さんが言われた通りに」
まさにというのだ。
「箒を逆さにして置いたり」
「ぶぶつけを勧めることだな」
「流石にそうすれば」
「わかるな」
「無神経も過ぎるとわからないでしょうが」
「もうそこまでいくとな」
英雄は言った。
「最早だ」
「口で言うしかないですが」
「そうだな」
「来るなと」
「もてなすに値しないとな」
「人は謙虚であり」
「礼儀正しくな」
英雄はさらに言った。
「遠慮を知っているのならな」
「それだけで全く違います」
「人間としての品性もな」
「行いもです」
そうしたものがというのだ。
「愛実さんが言われた様な人は」
「謙虚さも遠慮も礼儀も見られないな」
「逆に何様かとです」
「なるな」
「それでどうせ感謝もしないでしょうから」
こうした輩はというのだ。
「もてなしてもです」
「駄目だな」
「はい、そもそも何の為に人の家に来るのか」
「大方金でもめぐんでもらいにだな」
「物乞いということですね」
「そうだな」
「家はあろうとも、しかしものをもらうにしても」
物乞いをしてというのだ。
「態度がです」
「随分悪いな」
「人として碌なものではありません」
「毎月物乞いにするのにその態度ではな」
「人はどんな時もあり」
「ものや金を借りてでもな」
「やりくりしないとならない時もあります」
「辛い時はな」
「しかし毎月は」
それはというのだ。
「もうどう見てもです」
「働いていなくてか」
「自分でお金を稼いでいません」
「そうとしか思えないな」
「そうしようという努力もです」
それすらというのだ。
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