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星河の覇皇

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第八十二部第三章 国債の発行その三十三

「あの方だったからこそ乗り切れた」
「あの方が国家元首であられたので」
「そうも言えるだろうね」
「実際にですね」
「欧州巡幸からね」
 皇太子時代のことだ、この巡幸で多くのことを学ばれた。
「摂政となられ」
「そこから実質的に日本の国家元首になられましたね」
「そう言われているね、そして」
 その摂政となられた時にというのだ。
「大震災があったしね」
「首都を崩壊させたという」
「その震災があったから」
 関東大震災だ、この時代でも歴史に残っている。
「まずね」
「それがまずですね」
「クーデターがあって」 
「即位されて」
「それがあって」
 二・二六事件だ。この事件は陛下がお怒りになられそこから急激に終わったことは歴史にある通りだ。
「他にもあったし」
「そうした事件が、そういえば」
「首相が殺害されたね」
 こちらは五・一五事件である。当時の首相犬養毅が海軍の青年将校達に官邸で殺された事件である。
「そこから戦争になり」
「中国やアメリカと」
「連合国とね」
「我が国はカナダから独立しましたが」
「そのカナダとも戦っているよ」
 カナダも連合国であったからだ。
「そうなってね」
「敗戦しましたね」
「日本はね、そしてそこから復興して」
「日本は発展し」
「今の大国の基盤を築いたけれど」
 銀河の時代までつながるそれにだ。
「それが昭和であって」
「昭和帝のおられた時代でしたね」
「まさに激動だったよ」
 文字通りのというのだ。
「あの頃はね」
「そしてその激動の時代を」
「国家元首としてね」
「生きられたのですね」
「ずっと国家元首であられたけれど」
 昭和で六十四年、摂政であられた頃を入れると六十九年になる。
「浮き沈みが凄いね」
「まさに激動ですね」
「苦難と復興と繁栄」
「その三つの時代を生きられた方ですね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「常に市民、当時の日本では臣民後に国民と呼んだけれど」
「共にあった」
「復興の時は全国を巡幸されたよ」
 そうして国民を励まされたのだ。
「そうもされたしね」
「お話を聞けば聞く程ですね」
「私なぞではね」
 王は心から感嘆を込めて述べた。
「とてもだよ」
「及ばないですか」
「そう思うよ」
「陛下、そう思われましても」
 王妃は自分の至らなさを痛感する王に述べた。
「陛下は陛下ですし」
「私としてだね」
「励まれるべきです」
「及ばないことに劣等感を抱かずだね」
「陛下は陛下です」
「現ケベック王だね」
「そうなのですから」
 それ故にというのだ。 
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