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星河の覇皇

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第八十二部第三章 国債の発行その三十

「やはりね」
「バロックやロココですか」
「何といってもね」
「そうなのですね」
「ワーグナーやヴェルディも好きだけれどね」
 先に挙げたこの作曲家達もというのだ。
「けれど二十世紀のものは」
「どうにもですか」
「好きになれないよ」
「左様ですか」
「ここで王としてはね」
 王は難しい顔になり妃に話した。
「自分の嗜好はね」
「好きなものは言えてもですね」
「嫌いなことはですね」
「言えないね」
「左様ですね、そこまでは」
 王妃も同意して応えた。
「言えないですね」
「何が、誰かを嫌いかは」
「決してですね」
「言ってはならないよ」
 絶対にというのだ。
「それはね」
「左様ですね」
「そこを言えば」
「大変なことになります」
「周りがそれだけで気を使うからね」
「言えないですね」
「日本の皇室なんて」
 連合で第一とされている日本の皇室はというと。
「何があってもだね」
「嫌いという言葉は」
「出さないから」
 これは日本の皇室の不文律だとさえ言われている。
「何があっても」
「あちらはまた特別ですね」
「そうした意味でも凄いね」
「日本の皇室は」
「我々から見れば」
 王はケベック王家、フランス王家であったブルボン家の流れを汲む王家の者としてここではワした。
「お手本であるけれど」
「なれはしない」
「そうした存在だよ」
「まさにそうですね」
「歴史が違うしね」
「四千年ですね」
「そして皇帝だよ」 
 王ではなく、というのだ。
「フランス語で言うとランペルールだね」
「そうなりますね」
「そうした存在だと」
「王では」
「もう比べものにならないよ」
 それこそというのだ。
「雲の上の方だよ」
「それが皇帝ですね」
「そして日本の皇室だよ」
「左様ですね」
「そして歴史もね」
 こちらもというのだ。
「違うからね」
「四千年ですね」
「皇紀によるね」
「皇紀は実は四千年ではないと言われていますね」
「その実はね」
 神武開闢にはじまるこれはというのだ。
「そうであっても」
「西暦で三世紀には存在していましたね」
「日本の皇室はね」
「そう考えますと」
「三千年はね」
 これだけの歳月はというのだ。 
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