展覧会の絵
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第十二話 ジェーン=グレンの処刑その九
「そうじゃないわよね」
「そんなのわからないじゃないか。っていうよりかさ」
「というよりか?」
「このDVD送り主不明だし」
見ればそうだった。それも書かれていない。
「何処の誰かわからないんだよね」
「サッカー部の誰か?」
「力也や喜久治かな」
サッカー部の親しい友人達の名前と顔を連想した。
「ひょっとして」
「どうなのかしらね」
「まあとにかく観てみるよ」
話はそれからだった。こう言ってだ。
望は自分の部屋に向かおうとする。だがここでまた言うのだった。
「けれどさ。入らないでよ」
「お部屋に?」
「うん、絶対にね」
このことは強く言うのだった。母親に対して。
「絶対だよ、本当に」
「わかってるわよ。それじゃあね」
「うん、じゃあ」
念を押してからだ。望は二階にある自分の部屋に入った。そしてその部屋のDVDのスイッチを入れてそのうえでディスクを入れてだ。
観はじめた。最初に出て来たのは。
「?何だここ」
はじめは何かの部屋だった。部屋が出て来た。
その部屋は絨毯の上にソファー、それにベッドがある。その部屋を見て望はこう思った。
「何だよ。ホテルか?」
そこの部屋だと思ったのだ。
「ラブホとかじゃないよな」
やはりアダルトを連想した。それでこう考えたのだ。
だがここでだ。男が画面に出て来た。しかしその男の顔は。
何故か見えない。モザイクがかかっていた。しかしだ。
「背も高いしスタイルもいいな」
すらりとした長身だった。男は。
そしてその男がだ。モザイクの顔を右に向けて言った。
「さあ、来るんだ」
「?声も」
望はテレビのモニターの前に座っている。そのうえで声を聞いたのだ。
だがその声はだ。どういったものかというと。
「変えてるか?じゃあやっぱり」
そういう手のDVDだと思った。
「裏か?じゃあ誰が送りつけてきたんだよ」
まだこのことを考える余裕があった。しかしだ。
彼は次の瞬間その余裕を消してしまった。何とだ。
画面の右手、望から見て左手にだ。八条学園の制服の一つを着た少女がやって来た。その制服と少女の顔を見てだ。望は声を失った。
「なっ、こいつ・・・・・・」
春香だった。そこには彼女が出て来たのだ。
春香は男の隣に来てだ。そしてだった。
男にだ。自分からこう言ってきたのだった。
「ここでするんですよね」
「今日はね。嫌かな」
「いえ」
恥ずかしげだが何処か喜びを見出している顔で頷く春香だった。
「じゃあここで」
「ベッドに行こう」
「はい」
春香は男に肩を預けそのうえでだ。ベッドに入った。
そしてベッドの中で自分から男に身体を預けた。覆い被され唇を重ね合う。
唇だけではなかった。舌もだ。淫らな交わりの後で。
春香はうっとりとした声でだ。こう男に言った。
「今日もお願いしますね」
「今日はどうしたいのかな」
「今日は私からしていいですか?」
「君からかい?」
「はい、何か心が昂ぶっていて」
「やれやれ。最初はあんなに嫌がっていたのにね」
男は春香の言葉を聞いて楽しげに言っていた。
「それが随分と変わったね」
「そうですか?」
画面のアングルが変わった。春香と男を横から映すアングルになった。
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