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イベリス

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第七十二話 満ち足りた夏休みその二

「麦茶なんだよ」
「よく冷えた」
「だからね」
「美味しいですよね」
「その筈だよ」
「そうですよね」
「まあホットの麦茶なんてね」
 先輩はその場合のことも話した。
「普通はね」
「日本では飲まないですね」
「美味しくないだろうね」
「だから代用コーヒーは美味しくないですね」
「ドイツは寒いから」
 その緯度は北海道より北にありしかも南部以外は平地だ、すぐに寒くなるしかつ風も強いのだ。そして冬は雪が多い国である。
「飲むものはね」
「熱いものが多いですね」
「ワインだってホットにする国だよ」
 日本では普通そうして飲まないがだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「代用コーヒーだってね」 
 これもというのだ。
「熱くて」
「あまり美味しくないですね」
「そうなるよ、けれど冷やしたら」
 その代用コーヒーもというのだ。
「僕達日本人からしたら」
「美味しいですね」
「その筈だよ」
「一度飲みたいですね」
「冷やしてね、それも蒲公英だから」
 先輩はこうも言った。
「身体にもいいわよ」
「あっ、蒲公英って確か」
「そう、実はビタミンとかあるから」
「食べてもいいんですよね」
「飲んでもね、だからね」
 それでというのだ。
「いざって時は」
「蒲公英を食べるといいですね」
「アラスカではそうしていたから」
 アメリカのこの州ではというのだ。
「寒くてお野菜とかがなくて」
「蒲公英食べてビタミン源にしていましたね」
「そうした事例もあるから」
 だからだというのだ。
「食べてもいいよ」
「そうですね」
「まあ兎に角代用コーヒーが出たら」
 その時はというのだ。
「冷やしてね」
「飲むといいですね」
「そうしたら美味しいよ」
「じゃあそうします」
 咲もそうすると頷いた、そうして掃除をしていきそれが終わるとだった。
 あらためて汗を拭いてそのうえで魔法瓶から取り出した麦茶を飲んだ、よく冷えたそれを飲んで笑顔で言った。
「やっぱり夏はこれですね」
「麦茶だね」
「そうですよね」
「僕はこれだけれどね」
 よく売られているペットボトルのそれを飲みつつ話した。
「美味しいよ」
「そのお茶美味しいですか」
「前から売られてますね」
「人気があるからね」
 それでというのだ。
「昔からあって」
「それで売られてるんですね」
「そうだよ、それで飲んでもね」
 実際にそうしてもというのだ。 
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