子供を癒す犬の優しさ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章
子供を癒す犬の優しさ
アメリカ軍を辞めて普通の仕事に就いたジェニファー=ファスケッティ茶色がかったブロンドの髪の毛を後ろで束ねた整った顔の彼女はまずはだった。
傷害のある子供を育てられる訓練を受けた、そうしてだった。
ジェニーという少年を保護したが夫のルイージ黒い髪の毛と目を持つ長身で面長の顔を持つ彼は言った。
「僕もそうした仕事に就いてるけれど」
「この子はね」
「病気で目が見えなくて」
そうしてというのだ。
「しかも自閉症だからね」
「育てるのは大変ね」
「二人で話してね」
「養子を迎えることにしたけれど」
「それでもだよ」
「実際は大変ね」
「覚悟してね」
「一緒にいましょう」
その少年ジェニーを前にして話した、黒髪の彼はだった。
目が見えず自閉症で発育が遅れていてだった。
何かあると噛みついてきた、二人で彼に寄り添ってそのうえで献身的に育てていったがそれと共にだった。
「ワン」
「?」
ジェニーの為に家に迎えた盲導犬であるメルロー白い雌のラブラドールである彼女がだった。
彼の横に来てだ、常に寄り添ってだった。
身体を温めたり一緒に寝たりしていってだった。
共に遊ぶ様になった、するとだった。
ファスケッティ夫婦の子育てもあってだった。
ジェニーは次第に穏やかになり成長していってだった。
次第に心を開いていった、そしてだった。
「目もですか」
「そちらもですか」
「はい、視力は弱いですが」
医師は夫婦に話した。
「それでもです」
「見える様になるんですね」
「そうなるんですね」
「そうです、病気もよくなって」
そうしてというのだ。
「そうなってきました」
「自閉症も治ってきてますし」
「何よりですね」
「これもです」
医師は喜ぶ二人にさらに話した。
「お二人のお力あってのことです」
「いえ、それは違います」
「私達だけではありません」
夫婦は医師に即座に答えた。
「メルローがいてくれましたから」
「あの娘もいてくれたので」
今のジェニーと共にいる彼女を見つつ話した。
「それで、です」
「ここまでやっていけました」
「あの娘もいないと」
「とてもここまでやっていけませんでした」
「本当にです」
「あの娘もいてこそです」
ジェニーに寄り添っている彼女を見ての言葉だった、見ればその目は誰よりも温かいものであった。
ページ上へ戻る