パパイヤに再会して
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第四章
「これから」
「そうですね、では」
「今から食べるか」
「そうしましょう」
今では老人になった二人は笑顔で話してだった。
そのパパイヤを食べた、そうしてそれぞれ一口食べてから笑顔で話した。
「美味いな」
「はい、甘くて食感もよくて」
「しかも冷えていてな」
「美味いです」
「あの島でのパパイヤも美味かったが」
「今のパパイヤは遥かに美味しいです」
「今はよく冷えていて保存もいい」
古川は技術の頃から話した。
「それに思い出がな」
「あの島でのことが」
「あってな」
「余計に美味しいですね」
「そうだな、あの頃は大変だったが」
戦争の時はというのだ。
「生きるか死ぬか」
「どうしてもそのことを考えて」
「そうだったが」
「今では懐かしい思い出ですね」
「そうだな、その思い出があってな」
そうしてというのだ。
「尚更な」
「美味しく感じますね」
「そうだな、ではな」
「はい、このまま食べていきましょう」
「そうしよう、今日は」
見ればそこにいるかつて共に戦った者達の中でこの場にいる者の多くも食べていた、そうしてであった。
パパイヤに美味さだけでなく懐かしさも感じていた、そのせいかこの時のパパイヤはとても美味く感じた。
それで古川は次の日家族にパパイヤを買った、すると妻は怪訝な顔になって夫に貌を向けて尋ねた。
「またどうしてパパイヤを」
「昨日食ったからだ、今日は皆で食え」
笑顔で言った、聞けば園田もそうしたという。そうして家族がその果物を食べて笑顔になるのを見て自分達も笑顔になったのだった。
パパイヤに再会して 完
2022・7・14
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