| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

たゆたう心

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三章

「誰にも言ったら駄目よ」
「絶対によね」
「私も言わないから」
 古奈美はこのことを保証した。
「言わないとね」
「それでいいのね」
「言わなかったら何にもならないから」
 だからだというのだ。
「絶対によ」
「言わないことね」
「そうよ」 
 絶対にというのだ。
「言ったら戻らないでしょ」
「そうね、その時は」
「だからね」
 それ故にというのだ。
「そのことはね」
「誰にも言わないで」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「お酒で洗い流して」
「忘れることね」
「泣いてもいいわよ」
 古奈美は微笑んで弘子にこうも言った。
「それで酔い潰れてもね」
「いいの」
「もう兎に角飲んで」
 そうしてというのだ。
「忘れなさい、そしてね」
「そして?」
「新しいね」 
 また微笑んで言った。
「恋愛にね」
「生きることね」
「そうよ、そうしたらいいわ」
「そうなのね」
「私にはないけれど」
 古奈美は自分には経験はないと答えた。
「けれどね」
「それでもなのね」
「そう、こうした時にどうしたらいいかは」
「知ってるのね」
「相手いる人を好きになったことはないけど」
 それでもというのだ。
「失恋はね」
「経験あるのね」
「諦めるのも振られるのも」
 そのどちらもというのだ。
「結局は同じでしょ」
「失恋っていう意味で」
「だからね」
 それでというのだ。
「私もその時は飲んで」
「忘れたの」
「とことん飲んでね」
 今言っている様にというのだ。
「そうしてね」
「忘れたから」
「泣きもしたわよ」
 また笑って話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧