イベリス
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第七十一話 神仏を感じてその二
「世界屈指の都市として」
「そうですよね」
「その街を護っているのはです」
まさにというのだ。
「結界なのです」
「神仏の力ですね」
「これなくしてです」
「東京はないですね」
「そうです、私は神仏を信じています」
速水ははっきりと言った。
「完全に」
「そうなんですね」
「タロットもです」
生業としている占いもというのだ。
「やはり神の力があってです」
「出来ていますか」
「そうです、それを引き出せるかどうかがです」
それがというのだ。
「占い師の力であり」
「神様がいないとですか」
「出来るものではありません」
咲に真面目な顔で述べた。
「占いも」
「そうなんですね」
「はい、ですから私はです」
まさにというのだ。
「神仏の存在を信じているのです」
「そうなんですね」
「むしろ無神論を否定しています」
この考えをというのだ。
「狂信も然りですが」
「どちらもですか」
「否定しています、信仰はあるべきですが」
それでもというのだ。
「それは理性があってこそです」
「落ち着いて、ですか」
「冷静に学び考え」
そしてというのだ。
「信仰を行っていくべきなのです」
「理性を以てですか」
「間違っても十字軍や異端審問の様なことがあってはいけません」
「どっちも滅茶苦茶酷かったですからね」
咲はここでも自分が触れて来た工作の知識から話した、やはり彼女にとって創作から得られるものは大きい。
「虐殺とか拷問とか」
「非道の極みでした」
「よく言われていますね」
「異端、宗教や宗派が違っても」
「殺し合うなんてもっての他ですよね」
「人それぞれの世界があります」
速水は冷静な顔で述べた。
「ですから」
「それを否定したら駄目ですよね」
「はい」
まさにと言うのだった。
「何があろうとも」
「ああして滅茶苦茶なことをしたら」
「魔女狩りも然りです」
速水は今度はこちらの話をした。
「異端審問と重なる部分がありますが」
「それも酷かったですよね」
「何十万もの人が犠牲になっています」
欧州全体でだ。
「そしてその中に魔女はいませんでした」
「一人もですか」
「はい、一人もです」
断言、それであった。
「いませんでした」
「何十万もの人が殺されて」
「ですがその中に魔女はです」
「いなかったんですね」
「一人も。本物の魔女はああしたものは簡単に逃れます」
速水はここでも断言した。
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