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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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カエルの子はカエル

<ランシール>

「貴方と一緒に出て行かれた方は、どうしましたか?…一緒に行動をしていたのではないのですか?」
「はぁ!?お前バカなの?僕達ナンパしに出かけたんだよ!目当ての女の子が居れば、別行動するに決まってるだろ!…それとも何か、3Pでも期待しちゃったのかな?神官のクセにイヤラシいなぁ…」
一言で言うとムカつく!
実にムカつく口調で神官を見下すリュカ。

「な、何と無礼かつ下品な物言い!私はただ、もう1人の行方が気になっただけだ!」
「知らねぇーよそんな事!僕はこの町に好みの女が居なかったから、アリアハンの愛人の元に行ってたんだ!アイツ…方向音痴のクセに『美女の匂いがする!』って、どっかに行っちゃたんだもん…」
「何と破廉恥な連中だ…」
神官は呆れた口調で天を仰ぐ。
「今頃ティミーの奴、薄暗い場所で美女と一緒に良い汗かいてるんじゃね?自慢の愛剣を振り回してさ!あはははは…」



<地球のへそ>

そのころティミーは、薄暗い洞窟の中でアルルと共にモンスターを倒し、程良い汗をかいていた。
腰に差したグランバニアの剣を振るって…

「ここって本当に1人で攻略するダンジョンなの?敵が多過ぎよ!」
アルルは敵を切り捨て愚痴を言う。
「良かったね、僕が方向音痴で!お陰で1人で戦わなくて済む」
アルルの愚痴に軽口で返すティミー…
恋は人を変えるらしい。


『引き返せ…』
暫く彷徨うと、壁に大きな石面が彫られた通路へとやって来た。
その石面の前を通過すると、石面が薄気味悪い声で引き返すよう忠告してくる。

『引き返した方がいいぞ!』
「何コイツ…うるさいわね!」
それでも先へ進むアルル。

『引き返(ドガ!)』
それでもしつこく引き返すよう忠告する石面を、剣の柄で破壊するティミー!
「ゴチャゴチャうるさい!折角のデートを邪魔するな!」
「……………」
ティミーの言動に、少しばかり引き気味のアルル。
「どうしたの?」
「アナタ…本当にティミー?」
「な、何だよぅ…そんなに僕らしくない?」
「ううん、リュカさんの息子らしいとは思う」
「酷い侮辱だ(笑)…それコンプレックスなんだからね!」
2人の勇者は、薄暗い洞窟を笑いながら進んで行く…イチャイチャと。


そして勇者カップルは、宝箱が2つ置いてある行き止まりへと到達した。
宝箱の両脇には、大きな石像が守護しているかのように立っている。
「多分この中にブルーオーブが入ってるわね…」
「そうだね…でも2つあるよ。どっちかはトラップかも…」
目の前の宝箱を眺め悩む2人…

「考えてても仕方ないし、取り敢えず1つ開けましょう!」
アルルが1歩踏みだし、片方の宝箱に手をかける。
「危ないよ!もしトラップだったらどうするの!?…僕が開けるから、アルルは後ろで見てて!」
「方向音痴の迷子君が何言ってんの!これは私の試練なのよ。道に迷って偶然通りかかった人は引っ込んでて!………でも、もし危なくなったら、偶然通りかかったついでに助けてね♡」
そして2人はキスをする…
リュカがこの場にいれば『未開封の宝箱でイチャつけるバカップル!』と評価しただろう…

「じゃぁ…開けるわよ!」
一旦イチャつくのを止め、宝箱へ手をかけるアルル。
その後ろではティミーが右手に剣を構え、身構えている。
「えい!」
アルルは勢い良く宝箱を開けた!

すると、そこには青く美しい宝玉が…
「やった!ブルーオーブよ!こっちで良かったのね!」
アルルは喜びながらブルーオーブへと手を伸ばす…
その瞬間、石像の陰に潜んでいた『キャットフライ』が、隙だらけのアルル目掛けて襲いかかってきた!
「危ないアルル!」
ティミーは咄嗟に左腕でアルルを抱き抱え、その勢いを利用して体を回転させる。
そして、そのままの勢いでキャットフライを切り捨て、剣を構えたまま周囲を警戒する。

どうやら敵は1匹だけの様で、襲いかかってくる気配は他にない。
しかし警戒を解かないティミー…
「…あの…ティミー…」
ティミーに抱き抱えられたアルルが、恥ずかしそうに話しかける。
「どうしたの?」
視線は周囲を警戒したまま、優しくアルルに話しかける。

「あ、あのね…その…ティミーの左手が…」
何やら言いにくそうに話すアルル…
不思議に思いティミーは自分の左手を見る…
彼の左手はアルルの左後方から回り込み、彼女を抱き抱えるように左肩を通過し、しっかりと彼女の右胸を鷲掴みにしていた。
左手に意識を持って行けば、そこには柔らかで心地よい感触がプニュっと…
「あ゛………」

勿論ワザとではない…
咄嗟の事だったし、無意識で宛っていたのだ。
しかし意識が行った途端、思わず指先が動いてしまう…
「あ…」
思いの外、色っぽいアルルの声…

「ご、ごめん!そんなつもりは!!」
一生懸命言い訳し、しどろもどろになるティミー。
だが左手は離れない…むしろ指先が動いてしまう。
「ちょ…ティミー!助けてくれたのは感謝だけど…そろそろ離して…」
「あ、うん…そ、そうだよね…離さなきゃ………離さなきゃ…ダメ?」
「え!?…その…離さなくても…別に…」

危険極まりない洞窟の奥で、密着し胸を揉む男女…
2人の意識は、互いが接触している場所に集中している…
今、敵に近付かれ襲われたら、かなりの被害に見舞われるだろう…
どうやら彼等は運が良い。



 
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