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ブロイラーも馬鹿に出来ない

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第二章

「言われるわね」
「そうよね、けれどね」 
 真央はさらに話した。
「それはね」
「ブロイラーをよく知らないからよ」
「調理次第で」 
 それによってというのだ。
「幾らでも美味しくなるのよ」
「その通りね、じゃあ今夜はね」
「ブロイラー使うのね」
「そうするわ、胸肉をオーブンで焼いて」
 そうしてというのだ。
「それをメインにしてお野菜をたっぷりと使った」
「そうしたなのね」
「シチューと炒めもの作るわ」
「鶏肉とお野菜ね」
「それでいくわ、大したことないとか言われても」
 そうした食材でもというのだ。
「調理次第でよ」
「美味しくなるわね」
「だから言うわ、ブロイラーはいい食べものよ」
「今はそう言えるわね」
「心からね、それじゃあ」
「今日は胸肉オーブンで焼くわね」
「そうするわ」 
 こう言ってブロイラーの胸肉を買った、見ればその横では黒いスーツにオールバックの男が店の中でブロイラーについて大声で文句を垂れていたが。
「あれっ、あいつ毎朝新聞の岡山じゃねえか」
「この前ネットで炎上してたよな」
「ああ、店で化学調味料に文句言って暴れてな」
「それでネットにその場面晒されて炎上しただろ」
「懲りねえな」
「じゃあまた炎上してもらうか」
 他の客達がスマホに撮って動画が晒された、そして営業妨害で警察に連れて行かれた。真央はそんな彼を見てやれやれとなりつつレジで勘定を済ませた。
 そのうえで家に帰って作るとだ、夫はまた言った。
「美味いよ、今日も」
「そう言ってくれて何よりよ」
 真央は笑顔で応えた、そうしてまた美味しいものを作ろうと思うのだった。


ブロイラーも馬鹿に出来ない   完


                   2022・10・19 
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