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レーヴァティン

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第二百六十三話 全ての話を整えその十

「誰もまともなことはしなくてね」
「まともに働かないな」
「そうなるに決まってるさ」
「事実ソ連は戦争には勝ったが」
 第二次世界大戦で戦勝国にはなっている。
「しかしな」
「超大国にもなったけれどね」
「今はない」
「戦争の傷が凄かったし」 
 二千万が戦死し国土はモスクワから西が完全に焦土になった。
「それもあってね」
「そこにそんな奴が権力者としてずっと残っている」
「それだとだよ」
「よくなる筈がないな」
「復興したとしても」
 そのあまりもの巨大な戦禍からだ。
「国土は回復しても」
「死んだ人は帰らない」
「それも普通じゃなかったからね」
 ソ連の戦死者はだ。
「二千万、しかもね」
「その前にもかなり死んでいるな」
「穀物の強制徴発がありましたね」
 紅葉は暗い顔で述べた。
「ホロドモールが」
「ウクライナの穀物に対してだったな」
「何もかもを奪い去り」 
 ウクライナも主な穀物である小麦だけでない、そこから作ったパンやジャガイモまで全て持ち去ったのだ。
「そうしてでした」
「多くの餓死者が出たな」
「何百万も」
 一年で六百万もの人が餓死したという。
「それも革命の時からでした」
「ロシア革命初期からな」
「穀物を強制徴発していました」
「結果飢饉も起こった」
 これをボルガ飢饉という。
「人為的にな」
「そうでした、しかもです」 
 紅葉は仕事をしつつ話を進めた。
「スターリンは大粛清もしました」
「それでも多くの人が死んだ」
「そうでした」
「ロシア革命でもだったがな」
 英雄はこの時からのことも話した。
「革命には犠牲が付きものと言ってな」
「反対派を容赦なく粛清し」
「敵でなくとも巻き添えになっていた」
「そうでした」
「まさにな、そしてな」
「多くの人が既に命を落としており」
 ホロドモールに大粛清その前の革命でそれぞれだ。 
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