イベリス
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第六十九話 恋愛について考えだしてその十二
「よくわかります」
「だから震災の時もです」
「ああしたことをしたんですね」
「そうです、原発を爆発させ」
その様な歴史に残る大失態を犯してというのだ。
「その後も稚拙な対応で」
「しかも辞めると言って辞めないで」
「総理の座に居座り」
「余計に酷くなったんですね」
「あれこそです」
まさにというのだ。
「自分しかない」
「そうした人の振る舞いですね」
「左様です、自分しかないからこそです」
「ああしたことが出来るんですね」
「他にも恥の概念がないとも言えますが」
それでもというのだ。
「それもです」
「自分しかないとですか」
「なります」
「恥の概念がない、恥知らずですね」
「厚顔無恥と言いますが」
咲にこの言葉も出して話した。
「それにもです」
「自分しかないからですね」
「なります、恥を恥と思わなくなった時最も恐ろしい腐敗がはじまる」
速水は神妙な顔で述べた。
「まさにその通りですが」
「恥を知るってそれだけ大事なんですね」
「はい、自分しかないとです」
「自分の為にしか何かをしないので」
「もう恥を感じることもです」
それすらもというのだ。
「ないのです」
「そうなんですね」
「自分の為に何でもするので」
「恥知らずなことも」
「そうなります、そうなればです」
「最も恐ろしい腐敗ですか」
「徹底的に腐り果てます」
人間としてそうなるというのだ。
「まさにヘドロがより腐り」
「もっと酷くなった」
「ヘドロも最初は細菌がいるものです」
腐り悪臭を放つその中にもというのだ。
「ですが腐り果てますと」
「細菌もいなくなりますか」
「当然普通の生きものはいなくなり」
そうなってというのだ。
「おぞましく汚らしい」
「そんな風になるんですね」
「誰もいなくなります」
「忌み嫌われるということですね」
「何処までも腐り果てると」
「自分しかなくて」
「誰もが見捨てて相手にしない様な」
そうしたというのだ。
「そうした輩になります」
「自分しかないと」
「極論ですが」
「あの元総理はそうですね」
「ですから国会に出てもです」
丁度震災が起こって政権に居座っていた時のことだ、この時多くの人が辞めろ言ったのに何故辞めないと眉を顰めさせていた。
「殆どの閣僚の人が出ない」
「もう自分の政権の人からもですね」
「完全にです」
文字通りにというのだ。
「愛想を尽かされていました」
「それも凄いですね」
「一人だけ出ていましたが」
「何かあったんですね」
「その人も強張った顔になっていて」
そうしてというのだ。
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