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イベリス

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第六十九話 恋愛について考えだしてその八

「いつも飲めるだけの余裕はです」
「おありですか」
「それだけの収入そして貯金がです」
「そうなんですね」
「それがこのお店でして」
「店長さんですね」
「そうなのです、ですから普通の代金は」
 それはというと。
「あくまで、です」
「標準ですね」
「その様にしています」
「そうなんですね」
「そしてどの方も来られたら」
 その時はというのだ。
「占わせて頂き」
「救われるんですね」
「目の前が真っ暗になったなら」
 そうした者が来たならというのだ。
「その暗闇をです」
「店長さんが救われますか」
「左様です」
 まさにという返事だった。
「そうさせて頂きます」
「それで失恋した人も」
「救わせてもらいます」
「それで私が若し失恋しても」
「来られて下さい、ただお店の方は無料でもです」
 それでもというのだ。
「占わせて頂くこともあります」
「さっきお話されましたね」
「むしろそれが常かも知れません」
 速水は微笑みこうも話した。
「私は」
「そうなんですか」
「はい、気が向けばそうさせて頂きますが」
「その気が向くことがですか」
「多いので」
 その為にというのだ。
「むしろ」
「そうですか」
「占いは道標でして」 
 そうしたものでというのだ。
「悪いものが出ても」
「その悪い方に行かないことですね」
「いいものが出れば」 
 その時はというのだ。
「そちらにです」
「行くことですね」
「そうです」
 まさにというのだ。
「それがです」
「占いですか」
「道標であるのが」
 咲に話した。
「そうなのです」
「そうですか、ここに来るまで占いのことはよく知りませんでした」
 咲は正直に答えた。
「漫画やアニメや小説では知っていても」
「その中での知識ですね」
「実際にやるとか」
「そして人にお話することはですね」
「知りませんでした」
 そうだったというのだ。
「とても」
「現実としてはですね」
「全く、ですが」
「このお店に来て」
「店長さんとお会いして」
 速水を見て話した。
「よくです」
「おわかりになられましたか」
「はい」
 まさにと言うのだった。 
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